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12.10

『平場の月』

土井裕泰監督『平場の月』を見て、もう映画の中に「労働」と「勃起」があるだけでホッとしてしまう自分に危機感を抱く…。しょぼい映画見過ぎ病かも。いやしかし、井川遥と堺雅人という大人な俳優と土井裕泰監督の安定感しかない演出、ほんま久しぶりに落ち着いて見られる日本映画で基本的には満足。
お互いバツイチで地元に戻ってきたアラフィフの男女、久しぶりに再会して居酒屋なんか行く仲になって距離が縮まったりしちゃったりして。ただもう若くはない、それなりに生きてきた者の恋愛にはそれなりの問題が起こる。
堺雅人と友人たち(大森南朋のピアス笑った)の中年あるあるも笑えたし、安藤玉恵の絶妙なウザさの上手さ、でんでんの最高な下品さ、吉瀬美智子の現役感、そして塩見三省の存在感もみんな良かった。井川遥がストーマを装着する具体的な描写も、人工肛門経験者(一時的の方)の私から見ても非常にリアルで自然だったし、抗がん剤治療中の母を看病したり40代の姉を癌で亡くしたりしてる私から見ても、病と性という問題も真摯に描いていると思います。それなりに生きると色々ありますね。
と全体的に特に文句はないんだけど、ただ、ラストだけがしょうもな過ぎたか。堺雅人が遥様のアパートでうるさい顔芸を発揮したあと、なじみの居酒屋でようやく涙するっていう流れは理解できるけど、あそこはもっとベタでよかったんじゃないか。遥様が実は手紙を残していたとか、安藤玉恵(モブキャラ)がなんかしら活躍するとかのドラマが欲しい。ベタにしたくないって気持ちもわからなくはないが、あまりにも締まりが緩いかと。いっそ思いっきり泣かせてほしかったし、エンディング曲は薬師丸ひろ子でよかったんじゃないか。
「お金がない」と言いながら美しい青のコートを手放さず、でもボーイッシュなジャケットもさらりと着こなす遥様が最高なのはもちろん、今まで超苦手だった堺雅人をだいぶ見直した。普段からこういう普通の役やらせてあげてほしい。