7.19
『樹の海』について
井川遥の姿と、塩見三省の芝居が見たくて、渋谷に『樹の海』(瀧本智行監督)を。
うーん…、まず、長い。
前半30分、池内博之が1人で頑張っているエピソードは不要だったと思う。現代的なネタを入れたかったんだろうけど、それにしては安易。池内くん、叔父に似過ぎやし(私の)。
池内くんはひたすら携帯電話越しの相手と喋っている設定で、まあそういう状況なら台詞が説明的になってしまうのも仕方ないか、と思っていたら、その後も全編何もかもが説明的過ぎてびっくりした。
何でこの監督は表現の手段に映画を選んだの?と思ってしまうくらいに…。
「”説明”や”意味”が批判の対象となるのは、それが作り手の都合の側から発せられたものでしかないからである。どのような説明的な台詞であれ、字幕であれ、それが映画の内側から発せられているならば、観客は
”説明的”とは感じない」by高橋洋
そして、ただ単純に、もっと柴主高秀が撮影した樹海が見たかった!…これは勝手な私のワガママ。
あ、井川遥と塩見三省は、良かったです。
自殺を考えるような幸の薄い女の役を貧弱な女優が演じると、ハマり過ぎで見てるだけで疲れる時があるけど、井川遥の場合「丸顔の女優に悲劇は似合わない」という私の持論が良い風に働いて、中々ハマり役でした。
塩見三省はさすが、クサい台詞もこの人が言うだけで泣かされそうになる。すごい役者さんです。
ということで。この映画は「生への希望」がテーマだそうですが…。
別に、絶望することがかっこいいとは思わないけど、この映画は、希望を描いてる割には、希望が全然かっこよく見えない、と言うか、こっちに来ない。と言うか行けない。と言うか行く気にならない。…しつこい。