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12.17

ベルギー人はミニスカートがお好き

クリスマス間近の週末に恵比須に一人で行くなんて、冷静に考えたら有り得ないんだけど、映画のためなら冷静さも見失う。ということで、ガーデンシネマにジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ(長い)監督の『ある子供』を見に行く。

この監督の作品、嫌いではないんだけれど、『ロゼッタ』は映画を見た時の自分のテンションのせいでいい思い出にはならず、『息子のまなざし』は面白いんだけど正直始まって30分位で「おっさんの後頭部はもうええわ!」と心の中で突っ込んでしまった次第。シネフィル失格。(しかも一番良いと評判の『イゴールの約束』は未見…)

なのでこの作品も周りでの高評価をよそに、若干の不安を抱きながら見る。

物語は、子供が子供を産んで、それが最悪の結果を招く、という、映画が撮られたベルギーに限らず、世界中どこにでも起こりうる(起こっている)普遍的なお話。

相変わらずの手持ちカメラと被写体の近過ぎる距離、微妙な時間軸で進む編集。いつもと同じなんだけど、何かが違う。面白い。映画の大部分を占める、主人公の少年がただ生活するためだけに動いているシーンの、その映される「生活」の選択が絶妙。少女とじゃれ合うシーンも良し。

映画に出てくる乗り物と彼の関係も、上手くできてるしグッとくる。が、そういうことを分析的に話すのは趣味じゃないので省略。

そして、主人公の少年がなぜに子供かというと、彼は権力を所有していない(しようとしない)からで、もし作品の中で彼が相手の少女にもっと横暴な手段をとったり(押し倒して黙らすとか)、仕事仲間の少年に暴力を振るっていたりしたら、彼は子供ではなくただの権力者になってしまう。そうしなかった監督の選択に賛成。そんな話は見飽きた。

で、今思ったけど、私がこの監督(たち、か)に好感を抱く理由は、あまりセックスにこだわらないからかも。

もちろん人間にとってセックスや性については重要なことだけれど、もしそれを語ったり撮ったりするなら、軽い気持ちでやっては絶対いけませぬ。上手く表現する自信がないのなら、しない方がいいのです。こっちが不愉快になるだけです。多分ダルデンヌさんたちは自覚があるのでしょう。当たり前やけど、立派なことです。

この映画を見て、気に入らない人は結構いると思う。上映後の周りの感想に聞き耳をたてていても、否定的な意見多し。みなさんまっすぐくん。

しかし、本当にろくでもなくて、こいつはほんまに死んだ方がいいんじゃないかと本気で思えるような人間は絶対にこの世に存在していて、でも、そういう人間も、一緒に泣いてくれる人がいる限り生き続けなきゃいかんのだ。多分それはとても残酷なことだけど、生まれたからにはしょうがないんや。

と、褒め殺しつつも、気になった点が一つ。

ちょっと、あまりにも「母性」を過信し過ぎのような気が。

少女に対して、出産を経験して母になりました、だけの説明じゃ私は納得できないのですが。誰かに怒られそうな発言ですが。

映画館に、サンタクロース並みに赤い服を着たタレントの勝俣(名前忘れた)がいた。びっくりするくらい目立ってた。びっくりした。