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2.02

『キングス&クィーン』

連日フランスづいてるのはただの偶然なのですが、今日は、日仏学院で行われたアルノー・デプレシャン監督の最新作『キングス&クィーン』の試写を、青山真治監督のご好意で見られることに。カイエ週間でムダに並ばなくて良かった~。

何の予備知識もなかったので、始まる前に「上映時間は二時間半です」という説明を聞いた時は、「それはちょっと寝不足頭にキツいかも…」と一瞬不安になってしまった。が、冒頭、「ムーンリバー」が流れる中、主人公の女性ノラ(エマニュエル・ドゥヴォス。決してあき竹城ではない!)がタクシーで現れ、職場(画廊)の前で降りる、というただそれだけの一連のシーンに、思いっきり頭を殴られた様な衝撃を受け、目が覚める。で、そのまま二時間半覚めっ放し。

その冒頭のシーンに限って言うと、とりあえず、街に降る光と、そこに立つ女優の美しさに対する配慮が半端じゃない(全てのシーンにおいて、女優を美しく撮ることに対する能力には本当に脱帽、と思って監督のインビュー記事を読んでいると、主人公が履くヒールの高さにまでこだわって画面を作ったと言っていた。さすがです…)。そして、タクシーを降りる動作の編集の大胆さ。青山監督曰く「カサヴェテスが’挑戦’したことを、普遍的なものにしてしまった」、そのテクニックと言うかとんでもなさと言うか、やたらと面白いの。こういう映画が撮れる監督ってのもすごいけど、こういう映画を撮らせる環境がある国ってのもすごいと思う。

映画のストーリー自体も、女性と「家族」「血縁」「結婚」「養子」「姉妹」「恋人」と、私の関心のど真ん中な感じだったので、個人的にどっぷりつかってしまった、ってのもあるけれど、これは、かなり良い映画だと思います。久しぶりに、見て数時間経つけど何を言っていいのか書いていいのか未だによくわからない感じ。幸せ。って、内容自体はものすごく辛いお話なんですけどね…。

まあ、上映終了後フランス映画やフランス語に詳しい方々が色々分析的な解説をしてくれたものの、それらは全く理解出来なかったので(ごめん…)、本当ならもっと深い堪能の仕方があるんでしょうけど、私は今の状態で満足です。マチュー・アマルリックもかっこよかったし。音楽も良かった。せっかく「試写やからタダで見れてラッキー」と思ってたのに、前売り買ってでも劇場で見直したい。

今年の夏頃公開予定、らしいです。フランス映画とかあんま見ない、という方も、絶対後悔はしないはず。見てみて下さい。

帰りに立ち寄った神楽坂の焼き鳥屋で、「なぜ日本人はこういう物語の映画を撮らないのか」という話題になり、「それは日本の映画監督がほとんど男(=マッチョ)だから。でも女が撮るとムダにグロくなるのよね」という返答をしたら、「じゃあ『キングス&クィーン』は、グロくない柳美里、というキャッチコピーで売ろう!」と盛り上がりかけたので、反対しておいた。