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2.05

京橋→駒場→渋谷→実は新宿

前回の上映を見た人が口を揃えて、興奮気味に「くるくる!くるくるするんだよ!」と意味不明な感想を述べるので、その真意を確かめにフィルムセンターの「ドイツ・オーストリア特集」に『東洋の神秘』(アレクサダー・ヴォルコフ監督)を見に行く。無声映画の伴奏付き。

見た結果、確かに、くるくるしてた。老若男女、犬もらくだも、宮殿までもが笛にあわせてくるくる回転してました。最高ーー。

衣装や美術の素晴らしさ(特に船のシーン)、細かい笑いの完璧な面白さ、物語自体の愉快さ。これは想像以上、やられた、と思って見ていたら、白黒映画が途中で突然カラーに!ステンシルカラー、という噂は聞いていたが、ここまで美しいとは!しかもそんな技術を、ただ裸のねーちゃん達が踊るシーンのためだけに使うとは!!昔の人の考えることはほんまにようわからん、と大満足。

そして更に、今回の伴奏はピアノ&ヴァイオリンに加え縦笛(くるくるのシーンでは、ちゃんと笛の音が聞こえるのですよー)!伴奏者のギュンターさんすご過ぎ。惚れた。妻子持ちという事実が悔やまれます。

(この作品は見た方が良いですよ!と言いたかったが、今日が最終上映だった…)

そんな映画と伴奏に打ちのめされた頭を抱えたまま、駒場に移動して友人の主宰する劇団ハイバイの公演「ヒッキー・カンクーン・エンゲキリョウホウ」を鑑賞。

いやーー、これがまた面白かった。ハイバイの舞台を見るのは数回目なのだが、明らかにダントツ。岩井君、すごいよ。台詞を間違えた時のアドリブも見事。

引きこもりとか、家族とか、演劇や映画で軽々しく扱って欲しくないテーマNo.2くらいのネタを、私がこんなに納得・満足する内容に仕立て上げてくれるなんて。嬉しい。

まあ、パンフレットなどにも書かれている通り、物語の内容は演出家の岩井君のほぼ自伝ということで、だからこそこんな冷静に面白く誠実なものを書けるんだろうなあと思うけれど、でも絶対にそれだけじゃない、演劇に対する態度みたいなものにもすごい力を感じました。「演劇療法」ネタに、(面白い)演劇を作ってしまうなんて、普通の人じゃ出来ないよ!

地位とか名声とかに意味があるなんてこれっぽちも思わないけれど、こんなものを作ってしまう人(演出家の岩井秀人氏)が有名にならないというか名を成さない世の中はおかしい。

それと、お兄ちゃん役の金子岳憲さんのお芝居の良さも特筆。一瞬の表情の変化で泣かされます。

そんな演劇に打ちのめされた頭を抱えたまま、渋谷に移動して、やっぱり映画ばっか見ててもダメなのねーと語りながら、渋谷で新年会。わかってるけど、気がつけば映画見てんのよねー…。