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3.18

ダンス・イン・シネマ

「ダンス・イン・シネマ2006」という洒落た名前の映画イベントが、六本木という洒落た場所で開催されている(2日間だけですが)。上映される作品がかなりレアなので、珍しく前売りチケットを購入してまで足を運ぶ。

会場に着くと、京橋やら御茶の水やらで見かける人たちが今日はぎろっぽんに大移動。男女比8対2で、なんか不健康。

ま、そんなことは気にせず、ジャン・グレミヨン監督の『白い足』を観賞。実はグレミヨンを見るのは初めて…。ごめんなさい。

白い足、とは、主人公の伯爵が足に巻いてるゲートルのことで、その伯爵が住むお城がある小さな村での男女の悲喜交々の物語。登場する男たちががあまりにもわかりやすく色っぽいねーちゃんにやられていく展開にちょっと切なくなるが、映画自体はめちゃくちゃ素晴らしく、面白かった。伯爵の弟のキャラ&顔が怖過ぎ。その母親もクレイジー過ぎ。はじめ、伯爵が子どもの首を絞めかけるシーンでどきっとして、そのままサスペンス風でいくのかと思ったら全然違ったけど。あ、でもラストはそうか。

シネマの中のダンスってことで、結婚式で踊る人々と逃げる花嫁のシーンがすごかったのは勿論、個人的にはドレスを貰った少女ミミがオルゴールを聴きながら1人で踊るシーンに感動。最後の、幻覚のダンスシーンにも涙。

49年の作品なのにプリントがすごくきれかったことにも感心。

その後本日のメインイベント(多分)、蓮實重彦氏による講演。前売りが完売になる程の人気。それなのにそれなのに、ごめん、途中で意識が遠くへいってしまった…。連日寝不足だったもんで……。「自在な映画作家」の存在について話されていて、なるほどと納得したのは覚えてるんですけど……。二度目のごめんなさい。

気を取り直して、2本目はマノエル・ド・オリヴェイラ監督の日本未公開作品『言葉とユートピア』。

17世紀の異端審問にかけられた神父のお話で、映画の中で交わされる会話が全て聖書チックなので、途中で字幕を読むことを放棄。物語を追う感じじゃないなと思ったので。

130分間延々と淡々と絵画のような映像と堅苦しい(意味分からんから憶測ですけど)ポルトガル語で進んでいく映画。見てる途中で、なんにも考えずスクリーンを眺めてることが快楽になっていく、久々の感覚を味わう。すごいおじいちゃん(監督)がいるもんです。

個人的には、教会からあふれた人々の後ろ姿と、その人達の服が風になびいてるショットになぜか泣きそうになった。あと、神父の部屋の窓の外にいちいち異様なものを感じた。なんでやろ。

今気付いたけど、ダンスシーンはない。でもこのイベントでこの映画が上映されることには深く納得。

イベント後、新宿に移動して久々うなぎを食す。うまー。