『パビリオン山椒魚』
心優しい御方の御好意で、9月公開予定、オダギリジョー・香椎由宇主演富永昌敬監督作品『パビリオン山椒魚』を一足お先に拝見させてもらう。ありがたやありがたや。
富永監督、前作の『シャーリー・テンプル・ジャポン・パート2』で相当度肝抜かれた記憶が鮮明にあるので、「今回はちょっとやそっとのことでびっくりしないぞ!」と気合いを入れて観賞。しかし、始まって数分でそんな気合いは脆くも崩れる。とにかく、「え!?え!?」と驚きの連続。連続活劇。脚本もかなりぶっ飛んでるけど(内容を説明したところでなんの差し障りもない作品なんですが、一応控えます)、映るものもかなりの飛びっぷり。ゴダール?富士山??サスペンス???みたいな…。あまりの「?」に、ちょっと待って!と心の中で叫んでみたが映画は止まってくれず…。そしてそのまま映画は終わっていった…。こんな狐につままれたみたいな状態のままでは落ち着かないので、公開されたら絶対また見に行く!みんなも行け!
いや、もちろんただ変なことをしてるわけでは決してなく、監督の小憎たらしい程(失礼)冴える演出(相変わらず、人が動き回るところとか)にはさすがだなと唸らされる。バスの撮り方やらシャボン玉やら。
役者もみんな面白くて良かった(高田純次なんてずるい!)。濃ゆ過ぎるオダギリジョーと杉山彦々(←もっと見たかった!!)に挟まれた香椎由宇は、意外とあの軽過ぎる喋り方がハマってて、『リンダ・リンダ・リンダ』の時よりずっとよく見えた。ひょうきんな光石研も素敵。
上映後、資料を見て、監督・撮影・照明・録音が、74~77年生まれだと知ってなんとなく納得。「新しい映画!」とか意味不明のことを言いたいんではなく、もちろん良い意味で。監督ご自身としてはもっと暴れたかったのかもしれないけれど。
と、曖昧過ぎる感想ですが、具体的なことを一つ。とにかく、菊地成孔による音楽は痺れます。見に行く際は、目を見開きつつ、耳をダンボにしながら画面に向かいましょう。
帰宅して、パビリオンな山椒魚はほんまに存在したのだろうかとふと気になったのだけれど、「本物とか、偽物とかどっちでもいいの」ってことで、ま、ええか。