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6.02

『LOFT』

私の、西島秀俊サマへの想いが天に通じたのか、秋公開予定の黒沢清監督3年ぶりの長編作『LOFT ロフト』を一足お先に見れることに。神に感謝。嘘。某俳優さんと某配給会社さんに感謝。

1回目のマスコミ披露試写ということで、上映前に黒沢監督の挨拶があり(全身黒ルックじゃなかった!)、そこで監督が「女性が主人公の映画」&「恋(愛)映画」であることを非常に強調されていたので、こちらもそれをなんとなく意識しながら見てみた。

で、うん、確かに、主演の中谷美紀は大変美しく、上映時間の115分殆ど出ずっぱりで、立派な「女性が主人公の映画」だった。が、さすが黒沢監督。この主人公、見事なまでに感情移入できないキャラクター(普通絶対ミイラ預かったり死体掘ったりするのイヤやから!)。私が以前から1人で唱えていた、現代の映画監督で女性を正確に描けるのは黒沢清だけだ説が実証された様で嬉しかった。「女性」という存在に依存しない、冷酷な程の男女平等。素晴らしい。

それだけで満足しかけたところに、「恋愛映画」。これも確かに、男と女が出会って恋に落ちて抱き合ってキスをして、と、明らかに立派な「恋愛映画」だった。それなのに、以前から頭の中が謎過ぎて怖かった黒沢監督がますます怖くなった。この人に本気で惚れなくて良かったと変な安堵すら覚えてしまった。それくらいショッキング(内容的にも映像的にも)な恋。これは、まあ、見てみて下さい。そしてショックを受けて下さい。しかし、キスシーンの迫力はまた別の意味でショッキング(しつこい)。なんでただキスする男女なだけなのに、こんな風に撮れてしまうのか。相当一見の価値有り。

全体的には、恋の要素もあるけれど、相変わらず、誰が生きてるのか死んでるのかミイラなのか現在なのか過去なのか現実なのか空想なのかよくわからないミステリー&ホラー&サスペンスで、でも「ああ前と一緒か」なんてことは全く感じない、いちいちびっくりさせてくれるすごい映画です。『パビリオン山椒魚』とは全然違う意味で、ほんとにワケ分かんないんだけど、これもまた、そんなことはどうでもいい。見た方がいいですよ、多分。怖いけど。

中谷美紀、キレイし頑張ってたし。みどり色の窓と花柄のワンピースが日本一に合う女優に認定。西島秀俊、十八番の「フツーの顔してサイテーの男」ここに極まれり。こんな役を引き受けた彼が素敵。安達祐実も頑張ってたよ、うん。トヨエツは、この印象に残らなさがいいのよね、うん。

この映画を見た日の夜に、ウチに帰ってTVをつけると『レイクサイド・マーダーケース』。あら。