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10.24

『山猫』

ぼーっと「ぴあ」を眺めていたら、猫という漢字が目に入ったので読んでみたらヴィスコンティの『山猫』だった。

山のように猫が出てくるのかしら~、と淡い幻想を抱きながらヴィスコンティ生誕100年祭開催中のテアトルタイムズスクエアに向かい、『山猫(イタリア語・完全復元版)』(63年)。20分前に劇場に向かうと整理番号53でちょっとびびる。周りを見渡すと30代風女性1人客率高し。理由は不明。上映時間185分、尾てい骨に爆弾を抱えてる私にはかなりの覚悟を要するが、なんとか頑張ることにする。

前半の、意外と激しい戦闘シーンや、その直後の優美なピクニックのシーンや、埃っぽいシチリアの風景や、新政府からの使者と公爵(バート・ランカスター)のやり取り、若い男女(アラン・ドロンとクラウディア・カルディナーレ←激マブ)が他愛もない会話をしながら古いお屋敷を歩き回るシーンなどにも勿論圧倒されまくったし、公爵一家のお屋敷の美しさや女性陣のドレスにもうっとりしまくったが、やっぱりラスト(と言っても1時間近くあるけど)の舞踏会のシーンに度肝を抜かれる。なんなんだ、あの幸福なのか不幸なのかわからないドラマチックな空間は。公爵の心中とは裏腹にあまりにも華やかな人と場所。こんなものを映画のために作れてしまう贅沢さに感心したり。ベッドに集う女子とか一瞬幻想シーンかと思ったダンスの列とか、ひたすら感動。でも時々挿まれるギャグもちゃんと笑える。そして男性俳優陣がイタリア人らしく目線だけでエロい。かっこいい。ランカスター、あんまりよく知らないけどすごい役者っすね。

あ、物語はですね、革命の起こったイタリアで、シチリア島に住む公爵が自分の地位や名誉が終焉することに気付き、野心家な甥の生き方を応援しつつ、でも自分たちは死を待つのみと感じながら新時代の訪れを待つようなお話でして、山猫はその公爵一家の紋章なだけでした…。ラストカットに子猫がにゃーっと通りかかるけど…。でも映画が面白かったからいいのさ。

それにしてもアラン・ドロン、いくらスクリーン見てるだけでうっかりよだれが垂れてしまいそうな程美男子とは言えこの役はひどい。妙な軽さが似合ってるけどさ(嫉妬の表情とか、アホっぽくて可愛い)。こんな自分勝手な婚約者はイヤだ!と、瀬川昌治のおかげでやっと抱けた結婚願望も一夜にして砕け散る。

小さい時TVで見てたよー、間下このみ(写真作家なるものになってたのは初耳やったけど)。お互い成長して同じ病気になるとはね。本人が出産を望んでるなら頑張って頂きたい。