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10.30

『ゆれる』

猛烈に見たいわけでもなかったけど2回も入り口で跳ね返されるとなんかムキになってしまい、今回は上映6時間前にチケット買いに行ってようやく見たぞ、『ゆれる』(それでも整理番号3番で軽くショック)。

西川実和監督、『蛇イチゴ』はなんかあの中途半端に軽いノリに乗り切れずあまり好きにはなれなかったのだが、今作品は中々満足。面白かった。見てよかった。

映画が始まって事件が起こるまでの数分間で、登場する人や場所の関係性を完璧に説明し切る演出と脚本の技術にまずびっくりこきまろ。「でも冒頭でこんなことやってしまって、最後まで保つのだろうか」と一瞬抱いた不安も老婆心に過ぎず、最後まで見せてくれた。内容がどうこうと言うより、ほんと見せられたって感じ(物語としては、最後の展開は微妙かなとも思ったけど)。すごい人だったんですね、実は。

役者も、オダギリジョーのワンパターン芝居と香川照之の濃厚芝居(喋らなくてもあの襟足のカッティングだけで充分なのに…)が上手い具合に相殺されてて良かったんじゃないでしょうか。兄(香川)の、自分勝手で自意識過剰な凡人(面会の時のセリフとか)というキャラクターはちょっと女性的過ぎないかなと思ったけど、現実に女々しくてうざいヤツってたいがい男だからこれでいいのか。

キムニールヤングの芝居も良かった。真木よう子、もうちょっと肌がきれいに見えるように撮ってあげて欲しかった。天光真弓の声はやっぱりいい。新井浩文、実はかなり好きかも。それにしても、オダギリジョーのお尻の小ささは受け入れ難いものがある。

超大ヒットロングラン、カンヌにも出品、で今更言うことナスでしょうけど、今の日本映画を取り巻く環境で、若い女性の監督がこんな映画を撮ったということは大変喜ばしいことだとやっぱり言わずにはいれません。