10.31
『カポーティ』
PTAの『マグノリア』以来お気に入りのフィリップ・シーモア・ホフマン(以下PSH)の主演作ってことなので、『カポーティ』(ベネット・ミラー監督)を見に恵比寿へ(屋外のくせに全面禁煙化の意味が分からないガーデンプレイス)。
作家トルーマン・カポーティが『冷血』という著書を書いた6年間を映画にしている、らしいが、カポーティ自身も『冷血』もよく知らない私は普通のフィクション映画として楽しむしか出来ず…。
最初は、なんでわざわざPSHが山田辰夫みたな声出してまで作り込んだ芝居してんねやろ、他の役者がやっても良かったんじゃないの、と感じていたのにあら不思議、途中から普通の彼が思い出せなくなる程PSHが声の高いナイーブで自分勝手で神経質なゲイにしか見えなくなる。
一家4人を惨殺した事件を本にしようとその犯人たちと接触して長年に及ぶ取材を重ねるうちに彼らと友情を結んでるのか利用してるのか同性愛者として惹かれ合ってるのか、自分でもよくわからない主人公の状態を一瞬の体の動きや顔の表情で表してしまうから見てて飽きない。やっぱり面白い役者だ。
あと、ハーパー・リー役のキャサリン・キーナーの、特に美しいわけでも色っぽいわけでもない、普通なんだけどかっこいいおばさんの姿もとても素敵だった。
作品自体も、役者に助けられまくり的な部分はあるにしろ、寒々としたカンザスの風景が見てて辛くなるような、監督第一作とは思えぬ渋さと落ち着き感で良かった。ラストもなかなか。
ああ、それにしても10月は映画館に引きこもり過ぎたなあ。そりゃ携帯の発信履歴が相変わらず7月から残ってるはずだ。ちょっと泣きたい。