『父親たちの星条旗』
ふん、どうせフィルメックスのチケット買い逃したよ。でも別に1年後とかでも見れるならいいもんね。それより公開中の新作の方が大事やもんね。だからクリント・イーストウッドの『父親たちの星条旗』を見に行くもんね。
公開からしばらく経ってるし平日の午後やしそんな混んでないやろうと思っていたら、観賞ツアーでも組まれてるのかおじいちゃんの団体客がいててびっくり。そして映画を見てその凄さにびっくり。そして自分の硫黄島に関する無知さにもややびっくり…。
硫黄島に上陸して日本兵と闘ったアメリカ兵の、主に3人の若者の物語(実話を基にした)。が、その3人や周りの出演者も含め、殆ど見覚えのないような地味目な役者しか出てこない。豪華キャストの『ミスティック・リバー』や監督自身が出てくる作品との違いに一瞬戸惑うも、有名過ぎる戦いや写真を巡る様々な出来事が無名の人たちによって演じられる=戦われるという関係に気付き涙。ラストシーンの美しさには涙々。隣りのじいちゃんも泣いてた。マッチョだあーだこーだと言えるのかも知れないけど、ここまで兵士と戦場に的を絞られたらマッチョになるのも仕方がないだろとは思う。戦争なんて阿呆な男が始めたもんですし。
なんか上手くいえない言えないけど、善対悪を否定するように、生対死の境界も色んな意味であやふやな生き方をせざるを得なかった人たちの切ない映画だなあと。だからか、なんか「素晴らしい!」とか手放しで騒ぐ気になれない。いや勿論十二分に素晴らしいですけどね。
若干生々しいシーンもあるけど(でも見る価値大の戦闘シーン)、「戦争映画って苦手~」とカマトトぶってる場合ではなく、少しでも時間があるのならとにかく見た方が、と言うより、06年中には見るべきな映画なんじゃないでしょうか。私も機会があればもう一度行きたいな。
それにしても、脚本のポール・ハギスは監督業に手を出さない方がいいよね。イーストウッドさんによる音楽は相変わらずかっこよくて泣かせる(音楽以外の音もいちいち聞き逃せない)。
本編終了後に『硫黄島からの手紙』の予告なんてやるもんやから「今すぐ見せろ!」と暴れかけ。が、予告の時点で既に渡辺謙と中村獅童には一抹の不安を抱かずにはいられなかったぞ。本編がちょっと怖いぞ。