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11.21

フィルメックスデー

今日もせっせと有楽町へ、先日の続きとも言えるフィルメックスでのダニエル・シュミット監督作品を見に。本日は『天使の影』(76年)。

冒頭の、寒そうな川岸で焚火にあたりながら若くない娼婦達が客待ち中にか細い声で唄っている時点であまりの恐ろしさにぞっとしてたら、そのまま105分間恐怖はいや増すばかりだった。怖い、怖いよ。

暴力的なヒモをもつ病弱な娼婦が、金持ちの不動産業の男に気に入られたことで色んな関係に変化が生じていくお話なんだけれど、なんか、ただ話してるだけのシーン(の連続)なのに不穏過ぎる。突然流れる場違いに明るい音楽もなんかおかしい。オヤジの姿が泣ける(あの、終盤みんなが集まる場所は何なんだ?)猫は殺しちゃいけない。ラウル役がファスビンダーさんとは知らなんだ。

こんな映画を撮る監督を今まで殆ど知らなかったというのがまた恐ろしい話でゾッとする。近々特集上映があるという噂を耳にしたが、通わないことには死んでも死にきれない気分だわさ。

ということは、名前ばっかり知ってるけどこれまた作品を殆ど見てない岡本喜八監督ってのも実はすごい人なんじゃないのかと思えてきたので、そのままフィルムセンターに移動して岡本監督特集。外国人客率高くてびびる。

で、『斬る』(68年)を見たのだけれど、ひやー、これまた面白くてびっくりこきまろ。見て良かった。

侍くずれの浪人仲代達矢(惚れた)と農民から侍を目指す高橋悦史の2人が主人公の時代劇、が、基本的にコメディでめっちゃ笑える。でも泣ける。でも泣けるシーンの音楽が祭り囃子だったりしてはぐらかされる。でもラストの農民達が本当にお祭り騒ぎするシーンはあまりに不意打ち過ぎて泣ける。

114分だけど、テンポ良過ぎて全然飽きない。物語も、侍(お上)が全然かっこよく見えなくてよろしい。英語タイトルや、劇中出てくる「斬る」という単語が「kill」と訳されていた大胆なダジャレっぷりもよろしい。

劇場のロビーに岡本監督の遺品として展示されてた絵コンテのあまりの細かさにびっくりしたんだけど、この映画もそこまで考えて撮られたのかしら。そうだとしたらすごい話や。