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11.26

『黒眼圏』

フィルメックスに通い始めて4年目にして初めて招待作品を見に行くために夕方有楽町に向かうと、劇場で遭遇した知人に「3時からの西島秀俊さんのトーク見てないの!?」と罵倒される。うちそんなん知らんかったがなー、とショックで目眩を起こしてると視線の先に西島さんのお姿。でも周囲の追っかけ風ファンの方々の鼻息に吹き飛ばされ近づけず。まあいいさ。そのことよりも、喫煙所で真横にいてらした諏訪敦彦監督に全く気付かず無視してしまってたことがショック。髪の毛切られるとわかんないよ…。

気を取り直して場内に入るも、映画上映前に40分程の授賞式があると知り、コンペ作品を一つも見てないのにこれはないなとその間は会場を抜け出してリニューアルした有楽町西武を視察。かなりグー。特に7階。

そんなこんなでやっとツァイ・ミンリャン監督最新作『黒眼圏』(くろめけん。中国語で殴られた時にできる目の周りのアザのことだそうな)を見る。あれ舞台が台湾じゃない、と思ったらそこはマレーシアで、ツァイ監督はマレーシアの方だったんですね。ファンとか言っときながら知らなかった。

男女5人の複雑な恋愛物語、とまとめられるのかな、これは。でも今までの作品よりは全っ然わかりやすく全うな愛に満ちたストーリー&映像。でも回りくどいこと極まりない&とりあえず極端なのは相変わらず。水の次は火かと思ったらやっぱり水やし。

こんなお話ならもうちょっと素直に撮ればいいじゃないかと文句も言いたくなるが、まあそれをしないところがツァイ監督を好きな所以でもあるし、廃墟の中の黒々とした水たまりや気持ち悪いけど美しい蛾や火山灰に咽せながらのラブシーンなんかはとても素敵で、他の人にはこんな風に撮れないだろうなと思わされたのでした。

来春渋谷イメージフォーラムで公開予定らしいので、ツァイ監督未体験の方も(デビューにはいいと思う)『西瓜』で「もうええわ!」となった方も見てみられたらよろしいかと思います。私も多分もう一回は見るかな。

上映後、女優チェン・シャンチーさんの舞台挨拶。最近のツァイ監督作品ではだるだるのTシャツを着てるろくでもない女みたいな姿しか見てなかったので、素敵なドレス姿で登場したチェンさんのお姿の美しさに今更ひどく衝撃を受ける。きれかった~。