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1.22

『松ヶ根乱射事件』

人様の御好意に甘え甘え生き続けてる27年間。本日も懲りずに甘えまくって、早春公開予定の山下敦弘監督作品『松ヶ根乱射事件』を一足お先に見る機会を与えて頂く。ありがたやありがたや。

山下監督、実は、スクリーンで見たのって『リンダリンダリンダ』くらいで、それ以前のはWOWOWとかでチラッと見たけど、それらの作品に対して「そんなみんなが言う程おもろいかー?」とあんまり信用してなくて、『リンダ…』も、おもんないと思ったわけじゃないけどあまりにも評判が良いのがなんでか腑に落ちなくて、「それほどかー!?」と1人で反抗してみたりしてたのでした。つまり、単なる反抗期のはけ口になりつつあったのでした。

なので、お招き頂いておきながら半信半疑というど厚かましい態度で『松ヶ根…』を見たのだけれど、見てみてびっくりこきまろ。面白いったらそりゃあもう。心の中で今までの自分を山下監督に平謝り。

田舎のある人ならきっと見てて目を覆いたくなるような、地元独特のゆるーい町でゆるーい人たちがゆるーい事件を起こしてんだか起こしてないんだか。とにかく出てくるものが何もかもゆるゆる。男も女も命も罪も全ての価値が安くてゆるい。なのに映画は112分間全くゆるくないから凄い。何なんでしょう、これは。脚本も演出も、わたしまけましたわ、と回文のひとつも言いたくなる程がっつり面白い。細かいギャグもずるい!と思う程ちゃんと面白い。勢いとか感情とかじゃなく、こんな風にしっかり映画の面白さを感じられる日本人若手監督の作品は久しぶりに見た気がする。笑いながら感心しながら楽しんだけど、どこまで色んなことに冷静残酷になればこんな映画が作れるんだろうと思うとちょっと怖くなったりしたけど。

出てくる役者さんもまた良い。やっぱり新井浩文の、田舎町でホントに静かにテロのひとつも起こしかねないような目つきは見ててどきっとするし、彼じゃなかったら映画のテイストもだいぶ変わったことでしょう。キム兄も期待を裏切らず。久しぶりに見た川越美和、冒頭の無駄な脱ぎっぷりの良さから感動。ゆる人間代表みたいな三浦友和の、田舎町で二枚目なダメ男っぷりも良かったなあ。あんな男が父親やったら多分殺すけど(新井くんの双子の兄役、山中崇という役者さんは初めて見たけど、こんなメンツの中で目立てというのはちょっと可哀相か)。

と、まあ、結果大変満足したわけです。山下監督、こんな映画を撮った後に『天然コケッコー』かよと思うと、映画化大反対だった気持ちもぶっ飛び、早く見たくて仕方がない。

夜、気がつけば晩ご飯を3回くらい食べてた。食べ過ぎじゃー!ボケー!