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1.24

ディパー卓馬

特にスコセッシ監督のファンってわけではないけど、水曜なので『ディパーテッド』を見に行ってみる(元ネタの『インファナルアフェア』は、だいぶ前に見たけど詳細記憶なし)。

映画が始まってからずっと、妙に安っぽい照明の具合、全く重みを感じさせない話の展開と演出のテンポ、これは一体本気なのか冗談なのかと悩んでいたのだけれど、銃撃シーンのジャック・ニコルソンのTシャツを見た瞬間およよと思い、ラストカットでああなるほどと納得(あれが本気だったらある意味すごいけど)。なんとなく、軽くてゆるい(『松ヶ根乱射事件』とは全く違う意味の)撮ってみたかったのねと許せる感じ。決して面白くはいないけど。ひとつくらいかっこいいシーンあってもよかったんじゃないのとは思うけど。マット・デイモンとディカプリオがニアミスする夜の中華街のところとかさ。あと唯一のラブシーンも。あと上司が死ぬところも。話のオチに納得いかないという声が聞こえたけれど私はいいんじゃないと思った。

見ながら、私やっぱりマット・デイモン好きだわと再確認。ディカプリオは、『バスケットボールダイアリーズ』で恋に落ちた身としては複雑な気分。そんな眉間に皺寄せまくらなくても。多分もっと歳とった方がいいんだろうな。ジャック・ニコルソンは、是非ジャックくんというキャラクターグッズ(チャッキー風の)を売り出して欲しい。医者役の女優さん、初めて見たけどこれがちょっと腑に落ちなかった。魅力わからず。

夜は、新年早々友人が必見とのメールをくれた映画を見るためにシネマアートン下北沢にて小原真史監督の『カメラになった男 写真家中平卓馬』(03年)。何度も行ってるはずの劇場までの道に何故か迷い、半泣きで上映ギリギリに駆け込む。

中平卓馬というカメラマンを追うドキュメンタリー、なんだけど、私この人のこと名前くらいしか知らなくて、映画を見て初めて70年代の過激な活動やその頃病気で多くの記憶や言葉を失ったことや今は伝説の写真家と呼ばれてることを知る。

作品には、すでにおじいちゃんの中平氏がカメラ片手に自転車に乗って近所の写真を撮りまくったり沖縄に行ったりする彼の日常が映されているのだけれど、自分の行動を忘れないために煙草の箱にメモをしたり、何度も自分の過去の作品を見ながら混乱した記憶を確認したりする姿を見てると、今更ながら写真や映像の具体的な記憶としての力とその怖さを思い知る。写真と記憶と創造と沖縄の関係に執拗にこだわる中平氏を見て笑うことはできなかった。御本人、ぶっ飛んでるように見えて全然そうじゃないのがまたちょっと怖い。

ほんと「カメラになった」としか言い様のないような写真や自分との対峙の仕方、ただ圧倒されるのみ。かっこいい。アラーキーの太鼓に合せて踊る姿はかわいかった。映画から伝わる監督と中平氏の関係性も良かったな。人生とはショートホープなり。