次郎長玉三郎
黒いセーターでばっちりキメたつもりが紺色だった、という事実に会社で気づき、仕事が手につかないくらい焦る。こんな社長でごめんなさい。
あまりに落ち着かないので一旦ウチに帰って着替えてから再び街へ。アホかも。
どう考えても第一部から見るスケジュールが組めないので諦めに徹し見て見ぬフリしてたシネマヴェーラさんでのマキノ雅弘監督次郎長特集。しかしやっぱりどうしても見たい欲望が押さえきれず行ってしまう。でも今日は番外編的な『次郎長遊侠伝 秋葉の火祭り』(55年)だしいいよね。と、自分を甘やかして正解。相変わらず次郎長は最高かっこよくていい奴で強くて素敵だった。ややノリ軽過ぎ&女たらし風キャラにちょっとびびったけど、でも惚れ直した。暗闇の中刀がぶつかる時の摩擦の光だけが輝くチャンバラとか、かっこよ過ぎてずるいし。
次郎長以外のキャラクターの話も群像劇の様に差し込まれるのだけれど、森繁久彌の可愛いこと可愛いこと。インチキ臭過ぎる田中春男も見てるだけで笑えてよろし。そして女ヤクザを目指す北原三枝のきれいでキュートなことったらもう。くるくる動き回りながらひょいひょい進んでいく姿に恋に落ちてしまいました。ああ、やっぱり無理してでも全部見ればよかったかなー。
夜は、先日の日記を読んだ御方から「シュミットは立ち見ででも見ろ!ボケ!」と叱咤のメールを頂いたので、混雑覚悟でユーロスペースでのダニエル・シュミット監督特集のレイトショーに向かう。同じビルですけど。せっかく行ったのに今日は見たことある作品でしたけど(やっぱり今日も立ち見が出る程混んでた)。
15分程度の『KAZUO OHNO』(95年)と坂東玉三郎のドキュメンタリー『書かれた顔』(95年)。以前見た時はあまりシュミット監督の作品を見たことない状態だったのでよくわかってなかったけど、今回改めて見るとかなり普通というか一般的なドキュメンタリーとは異なる、シュミット臭のする映画だと気づく。なんというか、ドキュメンタリーのくせに全体的に不穏で、誰視線なのかがよくわからないと言うか。劇中大野一雄が出てくる時点で穏やかなわけないんですけど。でもあの東京湾でのダンスシーンはあまりに美しい。玉三郎の舞台(特に最後の)にも息をのむ。しかし素顔で喋ってる玉三郎がだんだん可愛く見えてくるから不思議…。杉村春子もやっぱりかっこよかった。
上映終了後には、『書かれた顔』の助監督をなさった青山真治監督のトーク。御自身の自慢を交えつつも、青山さんは本当にシュミット監督のことを愛していたんだなあと感動出来る素敵なお話が聞けた。