松川八洲雄デー
世間の皆様がエセ資本主義が作り上げた恋愛至上主義という幻想の思うツボにハマってバレンタインなんて騒いでる間、私は朝っぱらから病院で血やら尿やら採られてましたよ。さすがに切ないわ。
でもアテネフランセさんでは今日から楽しみにしていた松川八洲雄監督特集だし、いいもんね。
松川監督、05年のフィルムセンターの記録映画特集で『不安な質問』(79年)を見た時の衝撃は未だ忘れ難く。あんな映画を撮る人の他の作品を見る機会をずっと待っていたのさ。それが追悼特集とは悲しいけど。
と心躍らしてた割にはちょっと油断してまして。余裕のつもりで開演数分前に行ったら既に長蛇の列。こんな人気監督だとは存じませんでした…。ごめんなさい(お客さんの殆どはアテネフランセ初体験風の高齢者の方々で、階段が辛そうでした。ほんま予算の3分の一くらい出すからエレベータ設置を推進します)。
『ムカシが来た』(93年)&『飛鳥を造る』(76年)。消失した江戸時代やら飛鳥時代の建物の復元の記録映画で、両方心地よく50分程度にまとめられてるけど実はかなりの時間撮影してるよなと想像するとくらくらする。あらゆるものの音(ナレーションも)がすごくよかった。あと単純に、削った木をテトリスみたいにぱこぱこ填めていく職人さん達の技術に見惚れた。
『一粒の麦』(62年)は、未見だと思ってたけど以前に見てたっぽい。でも科学映画はいつ見ても何回見ても楽しいなー。麦さんも美味しいビールになるために色々大変なのねとちょっと同情(植物を擬人化して説明する時に、おしべとめしべが受精する行為はセックスでなく結婚と表現するのにはちょっと笑った)。
代表作のひとつだそうだが全然知らなかった『鳥獣戯画』(66年)にはかなりやられた。ただ鳥獣戯画の絵が特にストーリーがあるわけでもなく30分間映ってるだけの映画がかっこいいこと面白いこと。オペラだか合唱だかよくわからない音楽。40年以上前の映画なのに前衛的過ぎる。やばい。
『ヒロシマ・原爆の記録』(70年)は原爆投下直後に映されたフィルムを編集やコラージュして作られた作品だそうだが、ただこんな生々しい被爆者の映像を見るのが生まれて初めてだったのでかなりの衝撃であった。なむ。
で、例によって途中のトークイベントは欠席…。
と一気に5本も作品を見たのだけれど、バラエティー豊か過ぎて全然把握しきれない松川監督。ショック。