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2.25

ルビッチのちから

久しぶりに日仏学院に映画を見に行ったら、チケットを買う際背伸びをしてる自分に気付く。カウンターの高さまでフランス人仕様なのね。

「世界の映画と共にある都市、パリ」という特集だということは知らなかったのだが、とりあえずエルンスト・ルビッチ監督の『生活の設計』(33年)を見る。ルビッチ大好き。数本しか見てないけど。

始まる直前、この劇場では確認必須の字幕の有無をチェックし忘れたことに気付きかなり焦ったのだけれど、冒頭の、電車の個室で男が2人居眠りしているところに美女が現れ、男たちの似顔絵を描きだす、という数分の無声シーンで「もう字幕なんてどうでもいいわ」と思える程満足(それでもやっぱり字幕付きとわかったときは安心したけど…)。

物語は、親友同士の2人の男がひとりの女性に惚れ、なんとか3人でうまくやっていこうじゃないかと協定を結ぶという大胆にモラルに反した恋愛映画。面白いのなんのって。立派な大人たちが恋のためにアホなことばっかり本気でやってる姿が笑える泣ける。窓際のカップルの姿が美しい。ってかミリアム・ホプキンスが可愛過ぎる。首のラインがたまらない。

ラストの、他の男性と結婚してしまった彼女の元に2人が現れるシーンで大爆笑して大満足。ええもん見せてもらいました。

30年代の映画の後は新作を、ということで、池袋に移動して『幸せのちから』。実はかなりのウィル・スミスファンなもので。ガブリエレ・ムッチーノという監督さんはスペイン人だそうな。

ウィル父子初共演の涙モノと聞くと、どんなにベタな話でも泣いてしまうだろうとハンカチ片手に観賞してたらかなり予想に反してびっくり。ほんとになんの躊躇もなく「一流企業に就職することこそが幸福!」というメッセージを発している映画だった。こんな、みんな思ってたけど口に出すのは控えていたことを堂々と言ってしまう度胸にちょっと感動。

母親がいなくなろうが父親が自分勝手だろうがそんな両親によって息子が下らない我慢を強いられようが、一流企業に就職すればハッピー!貧乏なんて2度としたくない!というお話です。かなり写実主義ですね。私には全くもってピンときませんけど(そりゃ本当にお金のない苦労は知らないけど、お金があったからって幸せじゃないことくらいは知ってる)。

実の父子、ってことで、もっと息子が活躍するのかと思ってたのに大して出番がなくてちょっとがっかり。ウィル・スミスが美しいフォームで走りまくる姿はかっこよかった。最後の涙を我慢する表情はやっぱりちょっと良かった。なんか面白いなと思ってたら、カメラマンはフェンド・パパマイケルだった。