『自由学校』
久しぶりに映画館って怖いなと思いました。
先日からスタートした「監督 渋谷実。」特集をチェキろうとシネマヴェーラさんに向かうと、前回上映の映画(2本立て)がフィルムトラブル起こしまくりで30分程時間押してる&もうそのフィルムが上映出来る状態じゃないので急遽最終回は別の作品になるとの知らせを聞く。そっちの映画目的で来たのにー!とひどくショック受けるも、顔色変えてお客さんの対応に追われてるスタッフの方達を見ると苦情を言う気も起こらずとりあえず大人しくしておく。
渋谷実監督、ほっとんど見たことないので勿論初見の『自由学校』(51年)。「自由がほしい…」と戯言をほざいて勝手に会社を辞めて家を出て行ってホームレス生活して挙げ句の果てには事件に巻き込まれて警察に捕まる夫と、夫が姿を消した途端色んな男に言い寄られるも楽しみきれない妻。こんな身勝手で子どもじみた旦那なんて絶対イヤだ!と拒否反応を起こしたいが、佐分利信のぬぼーっとした風貌と芝居がなぜだか許せてしまうダメ男風で可愛くて笑える。誰かに似てるなーってずっと思ってたら、最後の方で星野仙一だと気付いた。似てない?高峰三枝子はとよた真帆に似てると思った。淡路千景は可愛過ぎた。
くるくる展開する物語のスピードもすごいけど、どう突っ込んでいいかわからないナンセンスギャグの連続について行けず戸惑う。佐田啓二のKABA.ちゃんキャラはどう捉えていいものか。面白かったけど。それなのに、笠智衆が今まで見たことない程バイオレンスなキャラクターで結構ショックだった。
後半の、妻と叔母がお昼を食べながら男のアホさについて語るシーンと、拘置所の窓から旦那の姿を見る妻のシーンがとても良かった。ちょっとしたセリフがやたらシビアでドキッとした。
ラスト一本見ようか悩んだけど、気分が落ち気味の時に映画運も悪いなんてむかつく!酒でも飲まなきゃやってらんねー!ってことで無理矢理友だちを呼び出して酒に収まる。
ああ、とうとう明日はyonjo引っ越し当日。私の中途半端な映画生活にもとうとう終止符が打たれるのだろうか。