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3.29

『さくらん』

西島秀俊さん、お誕生日おめでとうございます。

で、今回はですね、時間と場所が丁度いいってだけでなく、親切な御方からチケットを頂く機会があったのでまあタダで見れるならってことでですね、蜷川実花監督の『さくらん』なんて見てみてみました。原作の漫画は未読。安野モヨコは反対派(ろくに読んだことないけどビジュアル的に)。

始まって数分で、出てくる女優たちがどれもこれも遊女として全く魅力的に見えないと言う致命的欠点に躓く。いくら監督が惚れ込んだからって土屋アンナにあの眉毛のまま着物着せるのはあかんと思う。木村佳乃が異様に頑張ってたけどこの映画じゃ頑張り損な気がした(結構激しい濡れ場でね)。そして数十分後には、とりあえず人物を左右に置いて真横からのフルショットという構図にも飽きた。もうちょっと考えて欲しかったにゃ。

あと、スチールでは成功してるのかも知れないけど、映画の画面であっちこっちに赤を置くこと(常に壁と着物は赤)はどーかと思ったし、椎名林檎に音楽を任せたことは最終的に失敗だったんじゃなかろうか(色んな意味でうるさすぎ)。

脚本も特にひねりがあるわけでなく「ふーん」って感じやし、柵越しの表情がちょっと良かったけどそこまで土屋アンナにのめり込めないし、と文句だけを言いたいところだが、安藤政信がとても良かったのは無視出来ず。さすが私が追っかけした男(してたんです、実は)。二階を見上げる表情とか、ちょっとした視線のやりとりが素敵でした。

しかし、個人的には遊郭モノの映画が大好きなのでほんの少し楽しみだったんですけどね。なんなんでしょう、この薄っぺら感。勿論いくら異種業からひょいっと現れたとは言え女性が監督することの苦労を無視するつもりはないけれど、稲垣浩や溝口健二になれとは言わんがもうちょっとしっかり作って欲しかったにゃ。カメラマンさんと照明さんの力ってすごいなと改めて感じた。

同じ時期に同じ世代の女性監督が同じような(時代物)作品を作ったってことで比較されがちだったソフィア・コッポラ監督の『マリー・アントワネット』との勝負はソフィアの勝ち。

久しぶりに目白に行ったら「田中屋」がなくなってた!なんかショック。