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3.30

渋谷実デー

例年は4月スタートなんですが今年はさすがに本日日傘開き。この日差しはアレルギー持ちにはキツいっす。でも先日購入した紺色の日傘がとても気に入っているのでちょっとウキウキ。どっかで見かけたら褒めてやって下さい。

実は先日フィルムトラブルに見舞われた際お詫びとしてお客さん全員に招待券が配られていて、その期日が今日までだったので急いでシネマヴェーラさんの渋谷実監督特集最終日に駆けつける。連日の映画タダ見。

『好人好日』(61年)。この時代の映画によくある娘の縁談話を巡る物語かと思いきや、実は変わり者な父親の文化勲章授章を巡るドタバタドラマで、88分の作品にしては盛りだくさんな内容で面白かった。ちょこちょこ出てくる今イチ意味の分からない人物たちの狂いっぷりが笑えた(最後の右翼とか)。

若かりし頃の岩下志麻の可愛さは小津安二郎監督の『秋刀魚の味』でよく知っているつもりだったが、最近深夜のWOWOWで『極妻』を見ることが秘かな愉しみな私は改めて衝撃を受けてしまった。そして、父親役の笠智衆の変人で堅物なキャラクターにかなり萌えてしまった。ファザコンと言われようとなんだろうと、やっぱり理想の旦那である。すっごい綺麗けど、淡路千景の唇の色の悪さがちょっと気になった。あと、手書き風のタイトルクレジットが洒落てて素敵だった。

元は小津監督の企画だったとタイトルばかり知っていた『大根と人参』(65年)を初見。これも父親演じる笠智衆に萌え萌え。こんなに怒鳴る芝居を初めて見たけどやっぱり演技は下手クソでそれが可愛くて。

蒸発した父親を巡る、突然ミステリーになったり(造船所で話をするシーンにはドキッとした)コメディになったりするかっこいい作品。父親を心配して4人姉妹が集うシーンでは、いけないと思いつつ自分の家族を思い浮かべてしまい無駄にブルーになる(しかも末っ子の加賀まり子の可愛さが有り得なくてブルー度増大)。これもまた、微妙な存在の登場人物たちがみんなやたらおかしくて面白かった。森光子が当時から今とあんまり変わらないことにかなり驚いた。

それにしても、全編にちょっぴりエロな香りがするこんな作品を小津安二郎が監督したらどうなってたんだろう。小津作品の笠智衆の下ネタなんて見たいような見たくないような見たいような。