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4.04

『1900年』

今日もせっせとシネマヴェーラさんへ向かったわけですが、本日はちょっといつもと気合いが違った。なぜならお目当ての映画の上映時間が316分という超大物だから。血栓症を抱えてるから飛行機はビジネスクラスじゃなきゃ無理、と親にだだをこねた私ですが、映画のためならエコノミークラス症候群も致し方なしということで。親不孝な娘でごめんなさい(こんな長時間の映画を見たのは高校生の時リヴェットの『ジャンヌ・ダルク』を全二部連続で見た時以来か)。

で、腹を括ってベルナルド・ベルトルッチ監督『1900年』(76年)を見てきました。いくらベルトルッチ監督とは言えこんな超大作だとやっぱり少しは落ち着いた感じの映画になってるのかなと思ったのだけれど、そんなことは全くなく、随所にドSなんだかドMなんだかわからない変態臭プンプンの5時間で、美しくてエロくて面白くて感動的で哀しくて。面白かった。

1900年の同じ日に生まれた大地主の息子と農民の息子の友情や確執を軸に、イタリアの階級闘争やファシズムの抗争が描かれた物語。と書くととても堅い映画っぽいけど、なんか、どっかが大きく狂っててすごいの。後半とか、途中から突然サイコホラー映画みたいになるし(ドナルド・サザーランド怖過ぎ)、本気なのかふざけてるのか最後の裁判はなぜかショートコント風やし。

でもただクソ真面目な感じがしないだけで、大農園の映像の美しさ、室内の明かりの加減と絵画みたいなシーンの連続と、それ自体がエロく感じるカメラの動きが素晴らしいこと、農民の仕事(農業や屠殺)が丁寧に描かれてること、抑圧された人たちが歌う唄や演奏する音楽が泣けること、若き日のロバート・デ・ニーロの坊ちゃん刈りが可愛いいことなどの要素によって長時間の上映も一切退屈せず。もっと長くても文句言わなかった。ちゃんとした映画館でこんな作品をじっくり見れるなんて本当に幸せだとつくづく感じました。

5時間引っ張っといて、ラストのふざけ方には感動&大笑い。こういうユーモアを本気で出来る大人になりたい(これを受け入れた周りも凄いと思うけど)。

それにしても、この監督の女の趣味はわかりやすい。