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4.05

紳士はナイフ

そして今日も飽きずにシネマヴェーラに通う私。ポイント溜め過ぎで鬱陶しがられてるはず。

本日の一本目はハワード・ホークス監督の『紳士は金髪がお好き』(53年)。99年のフィルムセンターさんで見逃してたので。

愛を計る基準はお金と信じているマリリン・モンローと彼女に反発しつつ親友であるジェーン・ラッセルの2人のダンサーが船旅をしてパリへ行って結婚するまでのお話のミュージカル。楽しくて愉快で爽快で、これまた本当に素敵な映画でございました。自分がかなりのミュージカル好きだなとやっと気付いた。でもラッセルがプールで歌うシーンでは、バックダンサー(?)のオリンピック選手団(マッチョ男性)の水着が肌色で、裸に見えて1人でハラハラしてしまった。オザケンはこれを見たのかしらん。

相変わらずマリリン・モンローの可愛さは悶絶もの。過剰な馬鹿キャラがちょっと哀しかったけど、婚約者に浮気がバレた時の「こんな女になったのは男のせいよ。叱る前に同情して頂戴」というセリフがかっこよかった。でもその馬鹿キャラをラッセルが物真似するシーンは面白いけど素直に(その馬鹿さを)笑っていいのか微妙で、結構どぎついブラック・ユーモアだったりもした。それに群がる男たちもみっともなさ過ぎやし。怖い。

完璧な美女2人が着こなすドレスもどれもこれも超きれいで、パーティーで着るロングドレスは勿論、部屋着風のラフな服装までも色や形がすっごく格好よかった。紺色×豹柄は絶対に真似しよう。絶対にモンローみたくはなれないけど。

二本目はジョゼフ・ロージー監督の『唇からナイフ』(66年)。ジョゼフ・ロージー監督と言うとしっとりした大人な感じで、しかも主演がアントニオーニの作品でしか見たことないモニカ・ヴィッティならばと勝手に落ち着いた渋い映画を想像していたら、容赦なく裏切られた。びっくりする程わけのわからない、この時代にたまに見かける需要と供給のバランスが謎なぶっ飛んだコメディ映画だった。画面の色使いとかセットのちゃちさから思い出した映画はなんとなく『オースティン・パワーズ』だったり。

美女の超敏腕泥棒が主演なんだけど、まずこの人に関する具体的な説明が一切なく話が進んでいく(でも名前を歌詞にしたテーマソングはしつこいくらい流れてる)。主人公の周りに現れる奇怪な人物たちの説明も殆どなく、勝手に映画がハイテンションに進んで、ミュージカルになったりSFになったり007風になったりしながらハイテンションのまま終わっていく。なんでカットが変わる度にドレスの色が変わってるのか、主人公がイラストのモデルらしいポスターは結局何なのか、結局誰が何してんのか、?マークばかりが頭に浮かんで、ぼーっとしてると取り残されそうなので必死でついて行って見たけれど、ただ見てるだけで十分に楽しいのであった。モニカ・ヴィッティ激マブ。こちらも大変面白く見せて頂きました。改めて、数本見たくらいでその監督を分かった気になるなんてアホなことはしちゃいかんとしみじみ感じました。しませんけどねそんなこと。

劇場に小学校高学年くらいの女の子がいた。こんな映画に連れてきてくれる大人が周囲にいる人生ってすごい。