『狂った一頁』with高橋悠治
石原慎太郎を落としたいが為だけに都知事選には行く派だったのに、今回は仕事の都合で住民票が大阪にあるため行けず。またしても帰化の恩恵を無駄にしてしまい無念。
私も最近知ったんだけど、世界にはFIAFという国際フィルム・アーカイブ(フィルム保存)連盟なるものが存在するらしく、現在その会議が日本で行われてるらしく、その一環として本日有楽町朝日ホールにて衣笠貞之助監督の『狂った一頁』(26年)がピアニストの高橋悠治さんの伴奏付きで上映されるというイベントがあったので行ってきました。周り外国人だらけで妙にきょどってしまった。
『狂った一頁』、無声&モノクロで字幕も一切無し。事前に「前衛映画だよ」と説明されてたけどでも知れてるやろと軽く見てたらエラい目に遭った。あまりの前衛、アヴァンギャルドな作風に折角の川端康成による脚本のストーリー的なものは一切理解出来ず…。映画が誰目線で進んでるのかすらよくわからず。舞台が精神病院?(これもやや不安…)ってことくらいしか把握出来ず、後はただひたすら現実なのか幻想なのかわからない世界を感じるのみ。主演の井上正夫の顔だけで十分怖いのに、狂った女が足から血を流すまで踊り狂ってたり、病室の前に狂人の集団が群がったり、フィルムセンターさんのフィルム復元作業により鮮明に見え過ぎる程恐ろしい世界が続く。冒頭のでっかい球をバックに踊ってた女は何だったのか、結婚式は行われたのか、くじ引きの商品は何だったのか、結局夢オチなのか、そんなことを考えるのは多分野暮なんでしょう。いやあ、変な映画だった(一カ所ストローブ=ユイレや鈴木則文監督を先取りしまくってるショットがあってびびった)。こんな映画を晴れの場の上映作品に選ぶFIAFさんもなんか凄いなと思た。
高橋悠治さんによる演奏は、たまにある「とりあえず常に音鳴らしとけ」的なものでもなく、「とりあえず物語盛り上がってる時には音楽も盛り上げとけ」的なものでもなく、新鮮で素敵だった。まさに前衛×前衛の夢の共演、貴重な体験をさせて頂きました。お辞儀すらしない態度もかっこよかった。