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4.18

わが谷はない(不完全燃焼)

なんか毎日雨やねえ。せっかくの春なんだから晴れて欲しいところです。

傘をさして髪の毛を膨張さして数日ぶりにシネマヴェーラさんへてくてくと。混雑予想が今日も当たらず整理番号は一番だった。

ジョン・フォード監督『わが谷は緑なりき』(41年)。19世紀末、ウェールズに住む炭坑夫一家の物語。まだ幼い末息子を主人公に、兄と父の対立やら和解やら、炭坑所の賃金カット問題やら組合やら、兄の結婚やら事故死やらがなんの派手さもなく、ただ良い思い出として静かに語られてるだけなのに退屈とは程遠いのがすごい。炭坑夫たちが歩いて歌ってるだけのシーンでは涙すら出る。いや、本当は冒頭主人公と姉が名前を呼び合ってるところからちょっと泣いてた。炭坑所とそこでの労働がこんなに生々しく映画に映ってるのは初めて見た。

家族の為に人生を捧げてる一家のお母さんが可愛くて格好よくて惚れてしまった。60も過ぎた頃に旦那に「いい妻だな」って言われたい、私も。そして、マコーレ・カルキン似の主演の男の子がやたら芝居上手でびっくりした。初めて学校に行った時のおどおどした感じとか見ててほんとに切なくなって、「学校なんか行かなくていいよ!」とアドバイスしたくなった。顔もきれいし、この子はその後俳優になったりしてるのだろうか(自分で調べろっつー話ですけど)。

見ていて幸せな、素敵な映画だったけど、間違ってもこれを見て「家族愛!」なんて言う大人にはなりたくないものです。

ウォルター・ラング監督『ショウほど素敵な商売はない』(54年)。1930年代のボードヴィルでの芸能一家のミュージカル。最初は夫婦だけだった家族が段々増えて最終的には5人組に。成人になった子どもたちと両親の家族関係のごたごたもありつつ、子どもたちの色恋話もありつつ。この映画も一本目同様お母さんが素敵だった。あんな派手な服装の母親は実際イヤだろうけど。

とにかくショーのシーンが見てて楽しく美しく。基本映画に歌と踊りが出てくればそれだけで満足な私には満足過ぎる映画でありましたが、相変わらず可愛過ぎてやばいマリリン・モンローまで出演してて。最初のレストランの制服がエロ過ぎてどうかと思ったけど(超ミニのメイド服みたいなの)。

途中の、噴水のある庭で長男が1人で歌って踊るシーンでは、生まれて初めてタップダンスを面白いと思った。ラストの舞台の豪華さは、オリンピックの開会式をしきってる人とかがこれを見てセンスを磨けばいいんじゃないかと思った。