オール・ザ・愛
お正月ハワイに行く時の飛行機の中でやっていたので見ようと試みたもののここぞとばかりにしこたま飲んだワイン効果で開始5分後に寝てしまった『オール・ザ・キングスメン』(スティーヴン・ゼイリアン監督)を改めてに見に行く。
実在の人物をモデルに、実直に社会変革の理想に燃える男が労働者や農民の支持を受けて知事に成り上がったものの権力を手にした途端変化していき…、という物語の主人公をショーン・ペンが演じてるんだけど、これがまた権力を手に入れる前から全くもって堅気の人間に見えない顔と体(なんであんなにマッチョなの?)が面白い。久しぶりに見たけどやっぱりすごい役者で、最初の演説シーンにはうおおと思わされた。
作品自体も、薄暗い画面に古いアメリカ映画を思わせるしっかりした演出で1930年代の感覚と言うか雰囲気と言うかがかっこよくて素敵だった。特にからくりがあるわけでもなく、内容は最初からわかってるような話だけど退屈せず惹かれました。故に、途中のジュード・ロウとケイト・ウィンスレット(『ホリデイ』では兄妹だったのにね)の初恋エピソードみたいなのが映画の世界を無駄に狭くしてしまってる様でちょっと残念だった。もっとショーン・ペンで見せても良かったんじゃなかろうか。あと、ラストカットの血はダサ過ぎて苦笑い。
いやでも全体的には真面目な映画だなということで満足だったんですけどね。飛行機で見たウチの父親も褒めてました。なんの参考にもならないですけど。
で、新宿から渋谷に移動するのに上京9年目にして山手線の方向を間違い、ひどい自己嫌悪に陥りながらもなんとかユーロスペースに辿り着く。
キム・ギドク監督には一切興味なしなですが、今作『絶対の愛』は整形手術がキーワードだということで、これを見ると、明らかに異常な韓国女性の美容整形に対する強烈な男尊女卑からくるもの以外の執念(があると思うのですよ、何か)の真意が少しはわかるのかなと思って見てみました。が、結果、内容的には普遍的な気違い女(が存在するかは不明だけど)が繰り広げるドタバタ劇で、あまり役には立ちませんでした。
作品全体もさー、何もかもが「こういうの面白いでしょ」と思って作ってる感丸出しの映像と話の展開の連続で、これなら紙芝居でもよくね?と思ってしまった。それくらい映画としての魅力が見つけられなかった。脚本的にも、顔変えただけやのに声聞いてもセックスしても相手が正体に気付かないって無理あり過ぎな気するし。終盤の女優の鬼気迫る芝居は凄かったけれど、これじゃあちょっと鬼気迫り損。そして、今までの作品はこんなじゃなかったと思うんだけど、照明が韓流ドラマのそれみたく、とにかく全体的に明るくて影が一切なくて見てて疲れた。何かを意図してるのかも知れないけど私には何か分からなかった。
頻出する彫刻公園の作品が全部さすがの私も引く程エロくって、ここにはちょっと行って見たいと思った。あと、韓国の若者の性は結構乱れてるんだとちょっとショックだった。