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5.31

今村デー

そう言えば最近行ってなくね?ってことで、久しぶりにフィルムセンターさんへフラフラと足を運ぶ。ちょっと見ぬ間に受付のお姉さんたちの制服が変わっててびびる。

既に相当終盤の「映画監督 今村昌平と黒木和雄」特集、実はご両人とも殆ど見たことがないので、とりあえず有名どころからと今村監督の『楢山節考』(83年)を。

カンヌ映画祭グランプリ受賞作、にこんなこと言うのもいかがなものかと自分でも思いつつ、いやあ、ちょっとしんどかったです…。姥捨て山の伝説に基づいて語られるとある山村で生きている家族の物語。しょっぱなから役者の芝居についていけずずっこけ、途中で挟まれる虫や植物の生態映像(蛇がネズミ飲込むとか、カマキリの性交とか)のセンスにずっこけ。この時代の小さな村のとんでもない性事情は常本常一の本で大変興味深く読んだが、この映画は文章よりエロくも変態でもないし。カラスの扱いにはすげーなと感心したけど。あと、姥捨て山のお話ってもっと残酷なものと思ってたのでちょっと意外だと勉強にはなった。

そんな感じでごめん、なんか出会いが悪い監督だったっぽい…。

で、一本目がそんなだし迷ったんだけどせっかく来たんだからということで、そのまま2本目の今村監督作品『果しなき欲望』(59年)を全く期待せずに見たら、これがえらい面白くてびっくりする。

防空壕に隠された大量のモルヒネを発掘するために、4人の男と1人の女が手を組んで穴を掘りまくるお話。それぞれの私欲が重なりまくって最後は大変なことに。これが大変心地よいリズムとテンポでかっこよく撮られており、主要メンバー5人の芝居も素晴らしく。渡辺美佐子の、普段は着物なのに穴を掘るときはパンツ姿にノースリーブのギャップがエロかった(主演は一応長門裕之になってるがあんま絡んでこない)。執拗な地下と地上と二階へのこだわりも声を出して笑ってしまう面白さ。モノクロ画面の妖しい陰影も素敵だった。

うーむ、映画監督って歳と経験を重ねればいいってもんでもないのかとちょっと考え込んでしまった2本立てであった。