7.01
『お城が見える』
数ヶ月前に監督御本人からDVDを頂いていたのに、どーしてもDVD苦手病が克服出来ず見ずじまいだった小出豊監督の『お城が見える』をようやっと見る。「映画芸術」の井川耕一郎さんの文章を読んでからずっと気になってた映画だったんですが。
DV夫の主人公が妻を虐待し、その妻は子どもを虐待し、結果死んでしまった子どもを夫が解体して海に投げ捨てた、という簡単な説明の後、ひたすら主人公がDV加害者に対する暴力防止プログラムを受ける様子が描かれる。ひたすらと言っても10分程の作品。それなのに、どうかと思う程見ながら胸がざわざわと不穏な気持ちになる。最初は反省して暴力の再現すら拒否していた男が、途中からマネキン相手にTVのコードで鞭打ったり執拗にドアに挟んだりする姿が恐ろしくて目を逸らしたくなる。本来はこういうネタの映画大嫌いなはずなのに、でも容赦ない医者や周りのスタッフの一員になったかの如くつい見てしまった。ホラー。カット割りとかカメラの動きがめちゃくちゃ冷静な分、そんなクールにこんな映画撮ってるのかと思うと更にホラー。そして小出監督はこんな映画を作りながら『県境』みたいな胸キュン脚本を書くのかと思うと更の更にホラー。
しかし、10分という尺のため映画は「あ」と思うところで終わってしまう。ここまでやるならもうちょっとやって欲しかった、と思わなくもなかったかにゃ。
エドワード・ヤンの訃報に異常に狼狽える。本当に悲しい。