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7.10

愛欲のふたり

本当は昨日行く気満々だった一角座での大和屋竺監督の『愛欲の罠』(73年)(原題『朝日のようにさわやかに』)なのですが、向かう直前に月曜が休館日と気付き大失態を逃れたのでした。

しかし今日も、行くのは2回目だというのに予想通り道を間違え、パニくりまくりながらなんとか無事到着。それでも混んでるだろうと予想して1時間近く前に到着したのに最終的な入場者数は10人未満。幻の名作ニュープリント公開ってみんな騒いでたくせに裏切り者どもめと独りごちる。が、いざ見てみると、これを見に来ないヤツは寧ろ可哀相だと同情心が沸き起こる程の面白さ。

荒戸源次郎演じるかっこいいんだかしょぼいんだかかなり微妙な殺し屋が、人を殺して女とヤッて、でも最後は朝日のようにさわやかに(女たちの死体はさすがにちょっとブルーになったけど)、としか言い様がない作品なのだけれど、こんな映画を見てしまうと最近の中途半端な映画を面白いだなんて言ってる場合じゃないなと反省してしまいました。ほんますごかった。絵沢萌子との突然のセックスとか、安田のぞみとのセックス中の食事とか。もちろんセックス以外もすごかったけど、やっぱりエロとグロって映画には不可欠よねーと1人で納得。

そんなテンションで見てしまったからか、本日2本目の諏訪敦彦監督作品『不完全なふたり』。ただ「エロくない!」の一点で興奮できなかった…(監督御本人に泥酔姿を披露してご迷惑おかけしといてこんなこと言うのほんと申し訳ないんですけど…)。

いやいやしかし、全編フランスロケ、フランス人キャストで撮られたオサレ感漂う作品なのに、映画自体は今までの諏訪監督作品の中では最もかっこよくなく(←褒め言葉)個人的には好感度高し。

離婚を決意したカップルが友人の結婚式に出席するために2人でパリに来て、ホテルの部屋でひたすらあーだこーだもめる姿がひたすら固定カメラで撮られてる。この時の妻が、ただ離婚を目の前にして情緒不安定になってるうざい女に見えるギリギリのところで、役者の芝居か監督の演出か、美術館での旧友(元彼?)の再会などのシーンの美しさなどによってそれだけじゃないものに見える。

でもこれが全部即興の台詞や芝居で作られた作品というのが事実なら、もっともっと変な映画になっても良かったんじゃないかと思わなくもない。なんというか、もうちょっと予想外であって欲しかったかにゃ。内容的にも映像的にも。あと、殆ど聞こえない様な台詞(携帯電話越しの声とか)に字幕はいらないんじゃないかと思ったりもした。あと、根本的に、15年も共に過ごして結果ここまでもめた男女が数日間の旅行で関係性を修復するという感覚(絶対速攻後悔する気がする)がまだまだ子どもの私にはよくわからなかったりもしたのであった。世の中そういうもんなのかしらん。