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7.31

腰抜けどもの夜

吉田大八監督にも本谷有希子原作にも全く興味はないけれど、どうしても佐藤江梨子の肢体を思う存分眺めたいという欲望が抑えきれず、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』を見に行ってしまう。

途中から、な、なんなんだこの中途半端感は!とひどく狼狽。真剣にやりたいんだかふざけたいんだか笑わしたいんだか泣かしたいんだか映画なんだかドラマなんだか。で結局どれも中途半端で上手くいってないから面白くないんですけど、カンヌなんかに行くくらいだから一見上手く出来てる風なのが見ててむかついた。こんなならもっと面白くなくていいから真面目に作ってほしかったす。一瞬いいシーンとかもなくもなかったのに。

一番腹立たしかったのが、折角永瀬正敏がえらい頑張ってるのに、それに対して人をなめてるとしか思えない芝居をしてる永作博美。なんであんなことしてんやろ。

本谷有希子さんの原作は、彼女の作品を見る度にいつも思うのだが(ほんの一部しか拝見してませんけど…)今回も主人公とか状況の設定とかに微妙な時代遅れ感。自意識過剰な馬鹿女(自分を特別な存在と思ってるような。でもそれなりにトラウマも抱えてますみたいな)が面白いって感覚、安彦麻理絵さんがとっくに短編漫画でやり尽くしてると思われるので、今更笑う気にはなれない(物語の中で主人公を冷静に見てる妹というキャラクターはいいと思ったけど、彼女が姉の何を面白いと思ってるのかが今イチよくわからなかった)。

がしかし、サトエリの肉体は期待以上の神々しさで、細長過ぎる手足&高過ぎる腰の位置(&不自然な程のバストトップの高さ)を拝めたことは大変有意義であった(顔も決して嫌いではない)。膝に頭を乗せてペディキュアを塗る姿はあまりの有り得ないバランスにちょっと怖かった。この体が田んぼと山に囲まれた田舎道を安っぽいドレスで動き回る安っぽい映像は中々良かった。舌足らずなのか前歯の歯並びの悪さのせいなのか(直した方がいいと思う)、滑舌が悪いのが気になったが、ドS芝居がハマりまくってて見てて楽しかった。可愛い女にひたすら弱い私、という結論。

そして夜は突然のはじめましてアルトマン。売り切れ続出という前売り券をどーにかこーにかで『名誉ある撤退〜ニクソンの夜〜』(84年)を観賞。

いくら失敗を重ねようと今回も懲りずにどんな作品か全然知らずに見て、冒頭からえらい長い間ニクソン大統領を演じる役者のひとり芝居が続くので「おっさんおいしい役やなあ」と思ってたら、85分間終始彼のひとり芝居の映画だった…。まさかの事態にこれまた狼狽。

大統領の部屋(なんて言うんでしたっけ…)で酒を呑みながらレコーダーと監視カメラに向かってひたすらクレイジーに吠えまくり、政治の話やらお母さんとの会話やらピアノ伴奏やら犬になったりやら踊りだしたりやら大暴れ。フィリップ・ベイカー・ホールという役者の、ほんとに狂った芝居も大変凄まじかったが、こんな映画を84年に撮るアルトマン監督の狂いっぷりの方が怖いと思ったりした。

上映終了後、思わぬ場所で思わぬ方と「ガラスの仮面」トークに花が咲く。10年以上読んでないのにかなり詳細に記憶してる自分に感動した。