12.26
『夜顔』
これを見逃しても年を越せないと思っていたマノエル・ド・オリヴェイラ監督最新作『夜顔』をやっとこさ見に行く。ほっ。
ルイス・ブニュエル監督の『昼顔』にオマージュを捧げてるからってこの邦題はどうなのよと思いつつでも『昼顔』の記憶も曖昧なので大した文句も言えず悶々としたまま見てみたらこれがまあ衝撃の70分。何なんだこの優雅で贅沢で甘美なエロは。ややこしい過去を持つ男女が年老いてからばったり遭遇して一度だけ一緒に食事してってだけの物語なのに手に負えない程エロい。こんなものを撮る99歳(監督)、怖いのかかっこいいのかよくわからなくなってきた。いくらファザコンの私とは言えあんまり結婚はしたくない。
70分という短い時間の中であれもこれも驚きの連続だったのだが、個人的に一番動揺したのは、食事するレストランの扉が開いた瞬間の女の立ち方と表情。勿論その後の食事のシーンも再会のシーンもカフェのシーンもコンサートのシーンも凄いのだけれど。あああ。
偶然前の回を見ていた友人に感想を聞くと「始まったと思ったら終わってた」と答えられ、確かにそんな映画。でもそれでいいのだと思った。
ほんとはそのまま続けてレイトショーを見るつもりだったのだが、急遽友人から07年のクリスマスを振り返る会のお呼びがかかったのでそちらに向かう。女2人でシェリー酒のボトルを一本空けながら語り合った結論は冬のリヴィエラ。今知ったけど松本隆だったのね。