6.12
『ランジェ公爵夫人』
なんとか上映最終日にぎりぎり駆け込んでジャック・リヴェット監督の『ランジェ公爵夫人』。久しぶりの岩波ホール、上映時間もぎりぎりやったからタクシー飛ばしてしまったぜ。平日の中途半端な時間しかも雨模様なのに結構な客入り。受付に好青年発見!と思ったら友人だった。
フランスの小説家バルザックの作品が原作の物語、と言ってもご存知の通り私がそんなものを読んでるはずがなく、ただひたすら新鮮にじれったく気高い恋愛模様に終始ハラハラしながら楽しませて頂きました。ベッドシーンはおろかキスシーンのひとつもなく、ただ恋に落ちた男女が室内で小難しい会話を交わしてるだけの2時間なのに、とんでもない緊張感とエロ。一瞬体に触れるだけで超エロ。なんなんでしょうこれは。これまた『ミスト』に続いてラストはブルーだったけど、大した根拠もなく「やっぱりフランス人のエロさってすごいわ〜」と妙に感心させられたのでした。部屋の光の加減すらエロい。エロ以外にもちゃんと冒頭の空と海の青さと水平感覚にはクラクラしたりしましたけど。
主演のジャンヌ・バリバール、個人的にはこんな骨と皮だけみたいな女優は苦手だけどさすがに素晴らしかった。どの衣装も見事に鎖骨の美しさを強調するドレスで、それを眺めてるだけでもうっとりできた。「野生の動物みたいな女」なんて言われてみたいもんです(でもここまで素直じゃない女は可愛くなさ過ぎると思うけど)。悩めるギヨーム・ドパルドューもかっこよく、これからびっこ引いて歩くときはひとりランジェごっこを楽しもうと決意。今まで全然真剣にリヴェット監督の作品を見てなかったこと(結局一回も日仏の特集に行ってないし…)をやや後悔。
では明日からしばらく親孝行してきます。日曜には復活予定。