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6.25

ファスビンダー日

気を取り直して真面目気分にアテネ・フランセさんで開催中のライナー・ヴェルナー・ファスビンダー映画祭にてくてく向かう。大した意味はないけど殆ど未見のファスビンダー。

貴重な監督とは言え今日はDVD上映なので映画獣の皆さんは興味ないだろうから空いてるやろとナメてかかったら結果的には立ち見続出の大入りでびっくりこきまろ。やっぱり東京は凄いところだで。

『マルタ』(73年)、父親に怖い言葉を残して死なれ精神薄弱の母にも憎まれるマルタが旅先で出会った男と結婚してみたらどえらい精神的(&性的)DVを受け最終的にはどえらく悲惨な結末を迎えるというブルー極まりない物語、が、無表情で死んだ魚みたいな目を持つ役者たちにより淡々と進んでいく映画を見てるとどこまで本気でどこから冗談かがわからなくて妙に怖い。それでも明らかに滑稽な場面で笑えないのは画面のいちいちがもの凄い緊張感でとてもじゃないけど笑う気にならない。それでも旅先で全身火傷の下りには大爆笑してしまったけど。マーギット・カーステンゼンの微妙な容姿とバカでかい叫び声がとにかく頭に残る。大変面白かったです。

『不安と魂』(73年)、特に美しいわけでもお金持ちなわけでもない初老のおばあさんが出稼ぎ労働者の青年と恋に落ち、差別やいじめにも挫けず愛を育んでいくラブストーリー。泣いた、泣いたよ俺は。個人的な感情も入り乱れ。

ふたりが高級レストランで横並びに座ってる姿とか公園のテーブルで手をつなぎながら座ってる姿とかダンスを踊る姿とか、大袈裟な芝居でもカメラでも音楽でも全くないのに胸が締め付けられることこの上なし。ええ映画見たーと満足できました。私もこんな年寄りになりたいと思いました。この時代のドイツってこんなに外国人差別が激しかったのかとお勉強にもなりました。

それにしても、今回のウィンブルドンの錦織圭くんは残念過ぎる……。次回に期待…。