11.14
『春琴物語』
軽い気持ちで書いた「アルビオン」という言葉が思わぬ波を呼び起こしあああ世間って狭いなあと改めて肌で感じつつ本日もフィルムセンター さんの伊藤大輔監督特集に向かい『春琴物語』(54年)を。
谷崎潤一郎の「春琴抄」が原作だけど多分ちょっとアレンジ入ってる物語(小説を読んだのが十数年前なので詳細が微妙)。自分の中でイメージしてた佐助よりもだいぶもっちゃりした役者さんの雰囲気のせいかさほど究極の愛の映画とか耽美な映画という印象は受けなかったけれどそれでもひたすら目を閉じて芝居をする京マチ子の恐ろしい美しさがなんともかんとも。雪の中一人で踊るシーンとかお座敷で佐助を探すシーンとか、一回でも似てると言われて浮かれた自分を心底懺悔したかった。今でもしたい。調べてみたら当時まだ30歳で、それまた恐ろしや。
しかし、お琴が佐助を誘うシーンの音楽が何故あんなにホラーなのか(&一回関係を持ったという事実の矛先も理解できたとは言い難い)とか見事な演奏シーンの間に何故バケツから滴る水の音が挟まれるのかとか幾つか謎は残るものの、手を結ぶふたりの姿にうるうるしてしまうのでありました。金曜の夜にこんなに空いてなくてもーと思った。