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11.19

『落下の王国』

自分でも理由はよくわからないがやったら気になっていたこの映画がしつこく上映中だと偶然知ったのでこれもなんかの縁だとふらふら新宿に向かいターセム監督の『落下の王国』 を見に行ったのでした。9月からロードショーされてるにも関わらずかなり混んでてびっくり。前に座った女が最近流行の縦長おだんごヘアで、しばいたろかと思った。
1900年初頭らしいアメリカの陰気くさい病院で、自殺未遂の末身体が不自由になった自殺願望を持ち続けるスタントマン青年と何やら不幸な原因で腕を骨折した4歳のルーマニア少女が出会い彼がちょっとした魂胆から彼女に即興のおとぎ話を聞かせ始める。 そのおとぎ話パートの映像が殆どCGを使わず4年間かけて24カ国以上を回って撮影された!という触込みだけあってバカでかい砂漠やら宮殿やら海を泳ぐ像やらの姿はそれなりに圧巻で、美しくて贅沢なオペラ見てるみたいやなあとクールに眺めてた、つもりが、青年が自暴自棄になってお話の結末を陰惨なものにしていきそれを泣いて止める少女のやりとりに「ひとりで見に来ててよかった…」と安堵する程泣いてしまった。あは。この女の子が全然美少女じゃなくて、泣き顔もえらいブサイクで、それがまたなんか泣ける。最終的には『THE FALL』という原題が身に沁みる、とてもいい映画だったのでした。ラストの映画愛全開っぷりは予想以上のものがあってちょっとびっくりした(でもこれをやるなら冒頭の白黒シーンはスローじゃない方が良かったんじゃないかしらと思わなくもない)。
膨大なお金を使ってこんな映画を作るターセムさんは多分いい人だと思われます。石岡瑛子のどこかとぼけた衣装も可愛くて良かった。

帰りにふらりと立ち寄った近所の赤提灯的な居酒屋に犬がいて、それ自体は珍しいことじゃないので気にならなかったのだが、 そいつの私へのなつきっぷりが半端なく(それに対する店主の無関心も半端なく)、他人の中型プードル犬(めっちゃおとなしい)を膝に乗せておでんを食べるという体験は中々シュールであった。