『チェチェンへ アレクサンドラの旅』
本日も、微妙な出遅れ感を抱きながらもアレクサンドル・ソクーロフ監督『チェチェンへ アレクサンドラの旅』 を見に行ってまいりました。
ソクーロフさんの過去の作品は結構見てるはずなのですがそのほとんどが妖怪・睡魔への敗北と終ってしまった悲しい過去が。なので今回もちょっと不安だったのですが結果そんな心配はモウマンタイなのでした。
やたらと存在感のあるロシア人のおばあさん(世界的に有名なオペラ歌手だそうな)がチェチェンの最前線で兵士として勤務する孫を尋ねてくるだけの物語と言えばそれだけの話が、冒頭、欧米人の老女特有な(象みたいな)足首が執拗に映された時点でドキドキ、目が覚めたら隣りで孫が眠ってるだけで、迷彩服の若い兵士たちがうじゃうじゃいる中おばあさんが静かに歩く姿だけで、敵地であるはずの市場で人々の視線が交わされるだけで、孫がおばあさんの髪を編むだけで、なんだかとんでもないものを見てる気がして終始ドキドキしっぱなしだったのでした。まさか戦争映画を老女の存在ひとつ(戦闘シーンはゼロ)で見せられるとは思ってなかったす。素晴らしかったです。
実際にチェチェンで撮影したという、半分以上壊れた建物なんかもやっぱり見てて怖かった。でもその中で交わされる女同士の会話も同じくらい怖かったりもした。 ソクーロフさんすごいこと言わせるなあと思ったけど、言える女たちもすごい。小さな部屋の中でたった今人を殺してきたことと孫の結婚話を同じように話す、でもおばあちゃんてこんなんだよなと思ったり。髪の毛をほどいてからのやりとりには泣き笑いでしか見れなかった。
と二日続けてチェ繋がりな戦争ものを見てみましたが、こっちの勝ち。
そうそう、先日私が感じた疑問はこういうことだそうです。なのでみなさんは明日見に行かれるとよろしいかと思います。