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8.19

『湖のほとりで』

やたらと評判が良さげでちょっと気になってアンドレア・モライヨーリ監督の『湖のほとりで』 を。サービスデーだからか平日の昼間だというのに場内は銀座マダムでほぼ満席でございました。
イタリアの小さな村で起こった殺人事件をきっかけにベテラン刑事がその村の人たちを追求していくうちそこの人たちの隠された問題や人間関係が見えてきて実はその刑事にも深刻な家族の問題があったりして人間ていろいろ大変やけどまあ頑張ろうや、みたいな。
ナンニ・モレッティの助監督を長年務めていたというだけあってこれがデビュー作とは思えぬ堂々ったる映画っぷりで、冒頭の、壮大な山と湖に囲まれた丘に突然マネキンみたいに美しい女の全裸死体が現れるシーンでこの映画は十分なんじゃないかと思ったら、確かにそこ以降の90分間にそれを超える感動はなかったのであった…。だからって面白くなかったってわけではないし95分という長さは退屈せず見れたのだけれど。なんというか、サスペンスの香りを残しつつ人間について語りたいのはわかるけどそのためにいちいち村の人それぞれと刑事が話すからどのエピソードも映画の勢いも中途半端で、どうせなら障害者の子供を持って苦悩していたという犯人と刑事のやりとりだけで進めた方がスリリングなんじゃないのかしらと思ってしまった。若くてキレイな自分の娘にやたらと執着してる父親とか足の不自由な頑固じじいたちの意味ありげな存在の意味は結局わからんかったし(意味なんかなくていいとしては存在感あり過ぎ)。これも多分、監督さんはとってもいい人なんだろうなと思う。
作品に不釣り合いな程ポップな音楽はなんか楽しかった。イタリアのうさぎ、でか!とマジでびっくりした。