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10.29

『TOCHKA』

昼、X-GIRLでコートを試着した瞬間、年齢によって似合うものってほんとに変わるんだという事実を身を以て痛感する。
夜、一部で何かと話題の松村浩行監督『TOCHKA』(トーチカ、ロシア語でコンクリートの要塞を意味するそうな)を拝見。ワンロケーションに登場人物が二人のみというこの映画、果たして大傑作か駄作かと興味津々丸で臨んでみたところ、意外と普通だった(悪気はない)。
トーチカが点在する荒野と海に赤いコートの藤田陽子と猫背の菅田俊と黒い犬だけで圧倒的に良かったので、途中のナレーションや最後の子どもがちょっと残念だった気がしなくもない。こんなに説明されると、ものすごくよくできた自主映画を見た後にいつも感じる「で、だから?」という感覚が疼いてしまうというかなんというか。いや実はその奥にある深い深い意味を私が理解してないだけかもしれない。やや弱気。
ほとんど幽霊みたいな菅田俊が暗闇の中で辛うじて携帯灰皿を使うのには笑ってしまった。最後にカメラが動く瞬間はおおかっこいいなとびっくりした。確かにこのものすごい音と風景は爆音上映で見てみたいと思った。