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1.30

『板尾創路の脱獄王』

土曜の午後でも絶対空いてそうな映画をという適当な理由で板尾創路監督の『板尾創路の脱獄王』 を見に新宿に行ってみたら予想以上の混雑っぷりでちょっとびっくり。板尾って世間的にそんなだったんだ。どんななのかは上手く言えないけど。
松本人志の例もあるから大した期待はしてなかったし「信長の野望」みたいなファーストカット(ディスク版の記憶)を見た瞬間はだいぶ不安になったけれど、昭和初期を舞台に、大した理由も説明されないままどんなに酷い仕打ちを受けても尚何十年もただ脱獄を繰り返す男となんとなく彼に惹かれ続ける警察官僚の、一切の会話はなくただ視線を交わすだけの関係を軸にしたこの作品は、ようわからんけどなんか不気味な映画としては中々成功してるんじゃないかしらと結構感心。6割方國村準の力な気もしなくもないけど。中途半端に笑いの要素を入れてないのも良かった(唯一おかしなシーンも決して手放しで笑えないようなグロテスクな空気)。映画を一本引っぱるほど脱獄の手口ってあるんかいなと思っていたら単に主人公が超人的な運動能力の持ち主だという展開も逆にわかりやすくて良かったかな。津田寛治はやっぱりちょっと狂ってるくらいが一番いいとも再確認できた。
ただ残念というかやっぱりというか、こんなわかりやすいオチいらんのになあとラストでがっくりしてしまった。まあ芸人が監督するってこういうことなのかもしれんけどさ、ここは素直に空を飛んで欲しかったかな。

夜、気鬱な家族会議の場で父親に「お前の病気に一番効くから」と勧められた料理を素直に食した直後それが犬の肉だと知らされて心底凹む。それがちょっと美味しかったから尚更。