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4.30

女かまきり

新文芸坐さんでの増村特集に行くつもりが微妙に寝坊したので急遽ラピュタ阿佐ヶ谷さんで増村鑑賞。流行ってるの?
「悪女礼讃〜スクリーンの妖花たち」 という特集にて増村保造監督『女体』(69年)を初体験、冒頭誰もいない会議室みたいな場所でミニスカワンピ姿の浅丘ルリ子がひとり踊り狂ってるシーンで映画が始まったときには一体何が起こってるんだと軽く動揺してしまったが、その後、これ以上ないくらいわがままなルリ子(姉役の岸田今日子も含めここまで酷い女って設定もすごい)に惚れてしまった堅物で無表情な岡田英次がやたら切なくてなんか泣けるし既婚者の男が恋に落ちて女のために人まで殺して罪を償ってふたりは結ばれるも女は別の男に心移りした挙げ句心中まで図ってという物語があっという間のスピードで進んでいくもんだからしっかり動揺する暇もない面白さでございました。「遊ぶ以外興味ないのよ!」とか「歳とって誰にも相手されなくなったら呑んだくれて死ぬわよ!」とか死ぬまでに一度は口にしてみたい(いや既にしたかも)名言も頂いた。浅丘ルリ子の引き締まった身体は素晴らしかったしこのテンションの芝居を撮影中ずっと続けるってすげーなと感動したが、髪を下ろすとちょいちょい叶恭子様に見えなくもなかった
で増村目当てのはずがタイトルにどうしても惹かれて二本目も鑑賞、井上梅次監督『雌が雄を喰い殺す カマキリ』(67年)。多分初井上体験。タイトルバックはモノクロの能面。
分刻みで愛人宅をハシゴする女狂の成金資産家を巡って遺産目当てで旦那の女遊びを黙認する妻と継母を罠にはめようとする娘と純な女秘書とと確かにカマキリみたいな女たちがただ金だけを求めて人を騙したり殺したりする姿は見てるだけでだいぶ爽快、深刻な芝居をしてる岡田茉莉子はあんまり趣味じゃないのだけれどこの無表情は面白かったし加東大介の絶倫姿も笑えたしで結構楽しんだんですけど、増村の後だからかもうちょっとテンポよく進んでもいいかなあと贅沢な不満を抱いたりしてしまった。
それにしても偶然だろうけど「悪女」というテーマで二本とも最終的に一番悪いのは愛人ってのがなんか笑える。