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5.14

『プレシャス』

それでも懲りずにアカデミー賞受賞という宣伝文句に負けてリー・ダニエルズ監督『プレシャス』を見に行ってしまう可哀想なあたし。がしかし!今回は大変満足結果により観賞後のお酒も美味しく頂ける素敵な映画だったのでした。えがったえがった。
80年代のハーレムを舞台に、人種美醜貧困階級格差障害性的&精神的虐待と不幸のオンパレードで責めてくるような物語は本来苦手なタイプなのですがこの作品はそれを物語ること自体が目的になってないし若い女の子に降り掛かる不幸を映画のためだけに利用するような悪趣味さも皆無で、ちゃんとした映画を作るという大前提が真面目に意識されてる感じがして好感度大。今さっきHPを見て初めて知ったけど編集が『さよなら。いつかわかること』の人ってのがすごく腑に落ちる。それでもプレシャスちゃんがHIVを告白するシーンとか最後の母親とのやりとりにはだあだあ泣いてしまったけど。プレシャスちゃんが出産後病室にクラスメイトが集まって下品なガールズトークを延々続けるところも良かったなあ。あと、わかりやす過ぎる彼女の妄想女子っぷりが可愛いやら泣けるやら、150キロであろうと身長150センチであろうと思春期ってこういうこと考えるよね的な。
音楽のセンスと使い方も私好み、久しぶりに見たレニー・クラヴィッツ(『ズーランダー』以来の映画出演と知って「ビー・マイ・ベイビー」を初めて聴いた時以上にリスペクト)もかっこよかったし(母親役も先生役も役者がみんなグーだった)マライア・キャリーがノーメイクで頑張ってるのも悪くなかった。この映画の原題が『AN EDUCATION』なら満面の笑顔で受け入れたのに。と昨日との落差のせいかいい映画に見えてしゃーなかったのは多分気のせいではない、はず。多分(最近文句垂れてる文章しか褒められなくて…)。