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6.07

家路その2

アメリカでの上映権をビースティー・ボーイズが買っただとか日本での宣伝番長がいとうせいこうだとかで一階にて上映中の『ビルマVJ』も気になりつつ、イメージフォーラムさん地下で開催中のイエジー・スコリモフスキ60年代傑作選 に再び。前回見た三部作の最終章から時間を遡った第一&二作の『身分証明書』(64年)と『不戦勝』(65年)を鑑賞して、私ったらなんと途中でやっと主人公が監督自身だと気付く始末。馬鹿過ぎ。  
ダラダラと大学も卒業せずヒモ状態の若者が一日街を彷徨ってるだけの『身分証明書』は、それでも十分彼の身に降り掛かる出来事はとんちんかんだったしかっこいいシーンの連続に痺れたものの、まだ落ち着いてああ素敵な青春映画、私も誰かに君を驚かせるくらい簡単さなんて言われてみたいわんとちょっと余裕を持って見ていたのだが、主人公の6年後を描いた『不戦勝』になると、まず舞台になってる工場が何をやってるところなのかさっぱりわからないしこの時代のこの国で体重計がなんでそんなに貴重なのかわからないしなんで通りすがりの淑女が鶏を殺したがってるのかわからないし、何ひとつ具体的なことが見えないのにとりあえず主人公(監督)が歩いてる姿だけで映画が存在してしまうってすごいなと感動、しているところにラストのバイク&電車の長回しどころの騒ぎじゃない暴走パニックなシーンからまさかの「不戦勝」には驚き過ぎて大爆笑。さすがにこの展開は読めなかった。いやー面白かった、これは是非一度自分の眼で確認して頂きたい。相当狂ってます。そしてスコリモフスキさん、すごい映画を撮るだけじゃなく素晴らしい役者なだけじゃなく、運動神経半端ないです。かっこいいなあああ。

映画後ひとり立ち寄ったビール屋のバイトリーダーが、法律よりもシフトを守るような奴で、見てて切なかった。彼の夢は社会保険なのだろうか。