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6.17

『あの夏の子供たち』

ミア・ハンセン=ラブ監督の『あの夏の子供たち』、予告を見た時点でオリヴィエ・アサイヤス監督の『夏時間の庭』っぽいなと思ったら、27歳のミア監督はアサイヤスさんの彼女さんだったんですね。分かりやすくて素敵です。
実在のモデルがいるという超多忙映画プロデューサーが借金苦を理由に自殺してしまい残された彼の妻と娘たちの姿を描く、と書くとなんだか重くてダークな映画のようだが、この作品にそんな臭いは一切なく、父親の死を受けて哀しみの中それでもただ生きていく人々の姿をただ私たちが眺める、そんな映画だった。ちょっとでもドラマチックに感情的になりそうになると悉くそれを回避(自殺そのもののシーンもごくあっさり、特に理由を突き詰めるようなこともしない)父親の生前も死後も本当にただ生きる、そんな女たちの姿がものすごく大胆に『SEX AND THE CITY』にまで繋がっていく、「天使たちのシーン」を思い出す、素敵な映画でございました。あの子供たちはパリやイタリアでキャリーやミランダになっていくのだろう。
まあとにかく三人の娘の芝居が芝居とは思えない自然さで素晴らしく、あんな子どもにどうやってこんな演技をつけたのだろうとほんと不思議なくらい良かった。まだ小学生くらいの次女が父親の死を知って本気でやつれてる顔が凄かった。ヨーロッパの光の中ではしゃぐ姿が眩しかった。停電になる瞬間はちょっとやり過ぎかと思ったがその後外に出る展開は予想外で、とても良かった。パリの子どもはお洒落過ぎてズルい。映画を作るって本当に大変なんだなあと今更しみじみ。