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3.28

『トスカーナの贋作』

いくら病み上がりでもこれを見逃すわけにはいかぬと恐る恐る超久しぶりに渋谷に出て駅前のでかい画面が静かなことに感動しつつも人混みに怯えながらH&Mで散財した後(18時閉店に要注意)アッバス・キアロスタミ監督『トスカーナの贋作』にやっと辿り着いたのですが、これがもう、映画ボケした頭にはちょっと刺激が強過ぎるおかしな映画で、スクリーンの中で起こってるあまりの事態に途中から声を出してゲラゲラ笑いながら見てしまった。めちゃくちゃ面白かった。『イタリア旅行』は見たことないけど。
トスカーナで出会った男と女がドライブに出かけた先でカフェのおばちゃんに夫婦に間違われて、と内容を説明してもどうしようもないようなお話で、でもそのカフェのシーンからホテルの窓のラストまで信じられないような出来事の連続、鏡とアコーディオンの音色とジュリエット・ビノシュの立派な二の腕に心を奪われてる間に幸福な106分は過ぎていってしまった。延々と展開する女と男の会話自体はしょうもない痴話喧嘩なんだけどねえ。いやあキアロスタミさん恐ろしい。新作の資金誰か出してあげて欲しい。
映画の素晴らしさとは関係ないけど、この、夏の陽が暮れた旅行先での夕飯までの中途半端な時間の感じがすごく良くて、まんまとイタリアに行きたくなった。