『東京公園』
かなり無理矢理強引に満席の試写室に紛れ込んで、青山真治監督最新作『東京公園』を拝見させて頂きました。多謝多謝。小路幸也の原作小説は失礼ながら全然知らなかった。東京って公園多いよね、ってのが田舎者の素直な驚き。
主人公を演じる三浦春馬を今まで見るたび、そのあまりの美しさと繊細な若々しさがキラキラと眩し過ぎてなんかもう正視できないってひとりで勝手に困惑していたのだけど、今回は大丈夫、なぜならそれ以上に映画が眩しく、でもその中で春馬くんがフィルムだろうとデジタルだろうとカメラを構えて女たちを見つめる姿を見つめてることがこんな頭のおかしいおっさんが知事になってしまう街の中ですら感動的に思えるから、って言いながら自分でも何を伝えたいのか意味がわからなくなってきたけどとにかく、今、TVでよく見かける人気俳優が並ぶラブストーリーだとうっかり勘違いして(いやもちろんそうでもあるんだけど)新宿のシネコンに若者が足を運んだらこんな映画が上映されているって、なかなかすごい事態なんじゃないかしら。こんな、世界が変わってしまう程悲しいでも絶対に交わされなければいけない若い男女のキスシーンの映るスクリーンを見てしまうって。でも昼間から外で焼酎をラッパ飲みする姿がこんなにも清々しく見える映画も初めてで。数日前に大興奮したタイの奇跡がここでもとっくに起こっていて、そこからの世界だった。感動しました。
今までどうも苦手だった小西真奈美がそれはそれは素晴らしかったし榮倉奈々は現実にこんな女の子なんだろうなと本気で思ってしまうようなすごい芝居を見せてくれて井川遥は本当にただ歩いてるだけで美しくて。実は私は東京公園マニアで、たまにひとりであちこちの公園にぼーっとしに行くのですが、もちろんそこに春馬くんのようなボーイはいず、映画にも出てきた上野公園でお菓子を食べてたらカラスに襲われかけて周りのホームレスたちに助けられたくらいの記憶しかないのですが、それすらもいい思い出に感じれるくらい晩秋の公園がきれい。
6月18日(土曜日)より新宿バルト9ほか全国順次ロードショーだそうで、試写室ではなく震災後の映画館で改めて誰かと見たい気がする。