5.16
『これでいいのだ!!』
なんとなく怖いもの見たさで佐藤英明監督『これでいいのだ!!映画・赤塚不二夫』 を見に行ったら、結構凄いことになってたよ。
劇中で繰り返されるフジオプロや飲み屋のオカマたちの馬鹿馬鹿しいどんちゃん騒ぎが作品の舞台になっている70年代の日本にはほんとにこんなふざけた大人たちがいたんだろうなと見ながら楽しい気持ちになりたいところを、それが映画として描かれた途端くすりとも笑えない寒いとしか言い様のない空気を放出しだすから不思議。映画って怖い生き物だなと痛感、その冷気を一手に引き受けてる浅野忠信は本当に偉大な役者だと思いました。笑い以外にもあのカラオケビデオみたいな疾走シーンとか、ほんとちょっとどうしていいかわからなかった(っていうかG街にたーくんいたなら誰か教えてよ)。なんて言うか、全然楽しくないインド映画みたいとでも例えるか。監督さん、不憫なくらいコメディに向いてなかったんだろうな。
原作は男性だったらしい編集者を若い女にしてしまったから赤塚不二夫との関係も今イチ微妙だし妻や母親の存在も唐突過ぎて困ったしたーくんが全裸で頑張ってたバカ田大学の過激派の下りは長過ぎて最終的に赤塚不二夫のドラマなのか映画自体を赤塚漫画みたいにしたいのかもよくわからなかったし、もう少しなんとかできたんじゃないだろうか。初めてスクリーンで見た堀北真希がほんとに綺麗な顔で感心したってのが唯一の収穫、女王様をやらせたくなる気持ちもわかる。数少ない観客の中にTVでたまに見かける映画監督さんがいらしたのだが、果たしてどんな感想だったのだろうか。