『死ね!死ね!シネマ』
夜も更けて、渋谷のラブホテル街から何やら怪しげな映画の匂いがすると行ってみたらばそこは篠崎誠監督最新作『死ね!死ね!シネマ』の試写場であった…。お誘いありがとうございました。始まりは映画美学校の授業の一環としてスタッフも役者もほぼ学生、撮影期間は二日間&撮影場所は新美学校の中だけというルールで作り出されたというこの作品は、最終的(?)には夕張でのロケを追加した72分の映画になったそうな。英語タイトルは『DIE,DIRECTORS,DIE!』。
事前の噂で既に相当ヤバいことが起こっているという話を複数の人から聞いていたので不安と期待で胸いっぱい状態からのスタートだったが、冒頭10分、映画監督シマザキが自作の映画を野次られたことに逆上し大暴れするシーン(私も殺されたかった!)だけでもうこの映画は色んなものに勝ってるじゃないかとひとりで安堵し、その後に続くキレた女監督も虐殺シーンも殺戮シーンも幽霊の登場も生まれたての赤ちゃんが臍の緒で振り回される姿も狂ってるものばかりなのに不思議とかっこいいものに見えて。もちろんスタッフが学生さんということで技術的にはゆるいのかもしれないけれど、終盤本格的なホラー感が出てきてちょっと立派な映画になるのが少し残念に思える程前半のまっすぐな勢いが素敵で感動的。もちろん色々大爆笑もしたけれど。主演の森京子さん、たまたま先日お会いする機会があったのだがご本人の可愛らしいイメージとのギャップにだいぶびっくりした。
黒い眼帯をつけた女が映画のために愛と凶器を振り回す姿を見て一度は呪われておいた方がいい。公開は7月23日(土)から渋谷オーディトリウムさんでイブニング&レイトショー上映、だそうだが、今回見たバージョンが完成というわけではないそうで、私もまた改めて映画を見る目をくり抜かれに行かなければ。