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7.13

美学校セレクション2011とか

多分ここ数日で、映画美学校セレクション2011 に通い、深津望監督『どこかに落としてきた』(10年)磯谷渚監督『わたしの赤ちゃん』(10年)大工原正樹監督『破壊くん』(10年)『赤猫』(04年)万田邦敏監督『絶体絶命』(11年)冨永圭祐監督『乱心』(11年)を見た気がする。
前三作&万田監督作品は15分程の短編で、そうか今の若い人はこういう映画を撮るのかとちょっと意外な程ガチガチのフィクション感(『破壊くん』はガリガリガリクソンでいいんだよね?)にどこまで乗っていいのかわからず微妙に戸惑った。『絶体絶命』は、夏目漱石「明暗」の翻訳だそうだが、漱石の小説ってこんなだっけと不安になる程狭い室内で交わされる女たちのやりとりが不穏。あのふたりの関係性は結局何だったんだ。16ミリフィルムでがっちり55分の野心作だった『乱心』は、幾らなんでも全てが暗過ぎると突っ込みつつも自主映画とは思えぬ落ち着きっぷりと上手さで最後まで見せる、それが欠点のように思えました。で、以前から見たいと思っていたのにタイミングが合わず今回が初見となった『赤猫』、赤い猫って何なんだろうとずっと疑問だった謎が解けて嬉しかった。逃げ足の速い放火犯という意味だそうな。流産した女が語り出す猫と火事の妄想が、見てはいけないもののようなでも目が離せないような妖しさとエロさと緊張感の42分、面白かったです。新作『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』が楽しみです。最近よく映画でお見かけする森田亜紀さんと麻生久美子の声は似過ぎな気がします。

で、この間に奇跡のニュープリントでロベール・ブレッソン監督の『スリ』(59年)と『ラルジャン』(83年)を見て、もう今更私がこの映画に何か言うこともないだろうと静かに感涙したのですが、ただ一つだけ言わせてもらうと、上映してたイメージフォーラムさんが節電は結構なことだと思うけど鑑賞中扇子が手放せない程の暑さで。体が冷え過ぎるより全然いいんだけど駅からのあの坂を登りきった観客のためにはせめてもうちょっと。二本見終わった後には顔テッカテカなってました。