『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』
試写にお誘い頂いたので、大工原正樹監督『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱(こ)を使う』 を公開前に拝見。映画美学校の学生とプロのスタッフがコラボして作った作品だそうな。脚本は井川耕一郎氏。
タイトルからまったくどんな映画か想像つかないなあとワクワクしながら見てみて、実際全篇見終わった後もホラーなのかロードムービーなのかコメディなのか恋愛映画なのか掴みきれないなんとも不思議な作品で、学生がスタッフとは思えぬ充実感と完成度、大変面白かった。ホトホトさま怖い。実は大工原監督の作品は未見のものが多いのだけれどなんとかして他のも見てみたくなってしまった。
どことなく不穏ででもちょっと可愛らしい姉と弟のやりとりが謎解きと同時に進み、トラウマと戦うラストには血まみれのふたりの姿が感動的ですらある、大人が映画を撮るとはこういうことだと『コクリコ坂から』なんかに興奮した奴らは全員見て反省すべし。
さびれた海沿いの街のゲームセンターや人気のない映画館、廃墟になった実家の佇まいなんかも良かったけど、まあとにかく主演の長宗我部陽子さんがめちゃくちゃキュートで素敵、劇中で流れるオリジナルのブルースを唄う歌声もえらいかっこよく、惚れた。不意打ちの高橋洋にはさすがに笑ってしまった。
同時上映された、これも映画美学校の課題で作られたという『純情No.1』でも、キャラクターは全然違うけど、純情なのかただのキチガイなのかわけのわからん女を演じる長宗我部さんがとにかく可愛い。狭いトイレで展開される壮大な思い込みが冗談からいつの間にか愛になっていくからすごい。
公開は9月24日からオーディトリウム渋谷でレイトショー公開、の予定だそうです。 上映企画で連日色んな若手監督の作品も併映される模様、是非足を運んでホトホトさまの正体を目撃してみることをお勧めします。